[東京 29日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、好需給を支えにじり高を続けるとみられている。米国での利上げの方向性やギリシャの債務問題、中国株の動向など海外市場をめぐる不透明感が漂う一方で、相対的な日本株の安定感が意識されやすい。日経平均は、ITバブル期の2000年4月12日に付けた高値の2万0833円21銭を更新する場面も想定されている。
日経平均の予想レンジは2万0300円─2万0900円。
米国市場でダウ工業株30種 .DJI が高値圏でもみあいを続ける一方、東京市場では日経平均が11連騰と、1988年2月以来、約27年ぶりの長期上昇を記録した。もっとも、連騰期間における各日の値上がり幅は大きくはなく、テクニカル的な過熱感もみられない。ドルが一時124円台を付けるなど、急ピッチでドル高/円安が進んだ外為市場とは対照的だ。
株式市場の過熱感なき上昇相場を下支えしているのは好需給だ。5月第3週の海外投資家による日本株(現物・先物合計)の売買は、4週ぶりの買い越しとなった。足元においても「米系投資家の買い余力が大きい。彼らは米株を売る一方、粛々と日本株のアロケーションを増やしており、日米株の相関関係が崩れている」(UBS証券のエクイティ・ストラテジスト、大川智宏氏)という。
下落局面では、日銀がETF(上場投資信託)買いに動くとの期待感も根強い。日経平均は28日に年初来高値2万0655円33銭を付け、ITバブル期の高値にあと177円まで迫った。これを上抜ければ1997年6月以来、約17年11か月ぶりの水準に回復することとなる。さらに14連騰となれば、60年12月━61年1月の過去最長記録に並ぶこととなる。
ただ市場では「連騰記録がいずれ途切れたとしても、好需給の構図には変わりない」(国内証券)と、足元の株高は必然的なものと冷静にとらえる向きも多い。
来週は米国で経済指標の発表が相次ぐほか、週末には5月雇用統計も公表される予定だ。「発表される米経済指標は、改善方向に向かうとの見方が広がっている。堅調な内容となれば円安、日本株高という展開となることも考えられる」(大和証券・日本株シニアストラテジストの高橋卓也氏)という。
来週は国内では1日に1━3月期法人企業統計、5月新車販売台数が発表される。2日には5月マネタリーベース、5日には4月景気動向指数が公表される。また10年物国債入札が2日、30年物国債入札が4日に予定されている。
海外では1日に中国5月製造業PMIと米5月ISM製造業景気指数、2日にユーロ圏5月消費者物価などが発表される予定。3日には米4月貿易収支と米5月ADP民間部門雇用者数の発表、欧州中央銀行(ECB)定例理事会が控えている。5日には米5月雇用統計に加え、OPEC(石油輸出国機構)総会も予定されている。
(株式マーケットチーム※)