[ソウル 12日 ロイター] - 韓国は米国に155ミリ砲弾50万発を貸与することで先月合意に達したと、韓国紙・東亜日報が複数の政府関係者の話として12日に伝えた。米国によるウクライナへの武器供与の柔軟性が高まる。
関係者らが匿名を条件に同紙に語ったところによると、政府はウクライナ戦争で韓国の砲弾が使われる可能性を最小限に抑えるため、売却ではなく「貸与」を決めた。
貸与する砲弾は主に米国の備蓄補充に使用されるという。
米政府は昨年に韓国から砲弾10万発を購入。今年2月に同量以上の購入を求めていた。
関係者の1人は「ウクライナに殺傷能力のある武器を提供しないという政府の原則を貫きながら、同盟国の要請に誠実に応える方法を探った結果、砲弾の量を大幅に増やした上でレンタル方式を取ることを選択した」と説明した。
両国は砲弾供与について協議していることをこれまでに認めているが、最終的な合意に関する公式発表は行っていない。
韓国国防省は両国がウクライナの自由を守るための支援策を模索してきたと述べたが、具体的な協議内容の確認は控えた。米国務省はコメントしなかった。
韓国の朴振外相は記者団に対し、新聞報道を確認することはできないとしつつ、ウクライナに殺傷能力のある武器を提供しないという政府の立場に変わりはないと述べた。
同相は国会で、米国が韓国政府の通信を傍受していた疑惑について、無許可の通信傍受があれば「問題がある」とみなされるだろうと発言。韓国大統領府の通信を傍受した事実はないことを米政府が確認したのかとの質問にはコメントを控えた。
バイデン大統領との首脳会談のために今月訪米する韓国の尹錫悦大統領はこれまで、ウクライナに殺傷能力のある武器を提供しておらず、代わりに人道支援を拡大すると表明している。
ウクライナ支援を巡る問題は、ネット上に流出して先週報道された機密文書に含まれていた。この文書によると、エンドユーザーは米軍との韓国側の認識にもかかわらず、売却した砲弾がウクライナに振り向けられる可能性を韓国政府高官は懸念していた。