[シドニー/台北 15日 ロイター] - 太平洋の島しょ国ナウル共和国は15日、台湾と断交し、中国を承認すると発表した。台湾総統選後、台湾から中国に関係をシフトする初のケースとなった。
ナウル政府は、同国と国民の「最善の利益」を鑑み、中国との外交関係を樹立すると宣言。「もはや台湾を個別の国とは認識せず、中国領の不可分な一部と見なす。本日をもって台湾との外交関係を解消し、台湾とは今後、公的な関係や交流を持たない」とする声明を発表した。
台湾と外交関係を持つのはグアテマラ、パラグアイ、エスワティニ、パラオ、マーシャル諸島など12カ国となった。
中国外務省は15日、ナウルの決定を評価し歓迎すると表明。一つの中国の原則に基づき、二国間関係の新たな時代を切り開くとの声明を発表した。
同省報道官は「ナウルは主権国家として中国との外交関係を自主的に再開するという正しい選択を行った」と述べた。ナウルは02─05年に中国と国交を結んでいた。
台湾外交部(外務省)の田中光政務次長は緊急記者会見で、断交は突然のニュースだったとし、中国が総統選直後というタイミングを選んでナウルを標的にしたと発言。「奇襲攻撃のよう」で「民主主義へのあからさまな攻撃だ」と非難した。
その上で「台湾は圧力に屈しない。われわれは選びたい人を選んだ。それが彼らには耐えらないのだろう」と述べ、中国は多額の資金をナウルに提供しているとも指摘した。
台湾当局の高官によると、中国は年間1億ドルをナウルに提供している。ナウル政府の報道官はコメントを控えた。
ナウルは人口1万2500人の小国。漁業権の販売などが主な収入源で、通貨は豪ドルを使用。オーストラリア政府が開発援助を行っている。