今回のイエレン議会証言におけるポイントは、先週の議事録を踏襲したハト派寄りの内容となるか、タカ派トーンとなるかどうかだろう。
前者の場合、NYマーケットの反応は「株高・米金利低下・ドル売り」で反応しよう。外為市場全体では「株高オンリーのリスク選好」を背景にUSD&JPY売り、資源国通貨&新興国通貨買いの展開を想定したい。
問題は後者となった場合だろう。
昨日の外為市場で、冴えない米指標データが続いているにも拘わらずUSD売り圧力が強まらなかった点を鑑みるに、市場参加者は議事録よりもタカ派トーンになることを警戒している節がうかがえる。イエレンFRB議長が引き続き米金融正常化へのプロセスを推進させるスタンスを表明する場合、その拠り所とするのは米労働市場の持続的な改善だろう。この点を強調することで、6月の利上げ後退観測の背景にある低インフレ懸念への払しょくに努める可能性がある(1月FOMC声明では労働市場の持続的な改善が中長期的なインフレ率押し上げにつながると指摘)。5年と10年のブレークイーブン・インフレ率は1月下旬のFOMC以降、15bp程上昇している。インフレ期待の低下に対する懸念が後退しているこのタイミングで、今回の議会証言がタカ派トーンとマーケットで捉えられれば、米金利の上昇を背景に外為市場ではUSD買い圧力が対主要国通貨で強まろう。
ただ、このケースではリスクもあることは昨日のレポートでも指摘した通り。そのリスクとは、米株が再び調整局面へ突入するリスクだ。リスク選好の土台である米指標データは雇用統計を除けば冴えない内容が続いており、米ファンダメンタルズの持続的な改善に対する不透明感が増している。このような状況の中、イエレン証言がタカ派寄りとマーケットで捉えられれば、米金利の変動リスクが意識され米株の下落を誘発する可能性が高い。米株が崩れれば、高値圏で推移している欧州株や新興国株式市場も崩れる可能性が高まろう。結果、外為市場ではリスク回避のUSD&JPY買い圧力が強まろう。
一方、原油相場にも下落圧力が強まることで資源国通貨には下落圧力が強まろう。新興国通貨も対USDで軟調な地合いとなることが想定される。
< テクニカル分析コメント -EUR/USD、レンジの下限ブレイクを意識>
レジスタンス
1.1455:ボリンジャー上限(緑ライン)
1.1450:オファー
1.1440:オファー
1.1397:一目/基準線(赤ライン)
サポート
1.1279:2月20日安値
1.1270:ビッド
1.1257:ボリンジャー下限(緑ライン)
1.1250:レンジの下限 、ビッド
1.1250-1.1500を中心レンジとする状況は変わらず。テクニカル面での焦点は、トップサイドが一目/基準線、ダウンサイドがボリンジャー下限となろう。一時的にせよギリシャリスクが後退しているにも拘わらず再び一目/基準線で上値の重い展開となっている現状を鑑みるに、常にボリンジャー下限のブレイクに警戒すべきだろう。よって、ユーロのショートカバーが再び強まっても上記のテクニカルポイント、1.1500及び1.1534(2/3High)レベルでの戻り売りスタンスで臨みたい。