筆者が描くドル高ストーリーの軸となっているのは、米ファンダメンタルズ改善とそれに伴う早期利上げである。
しかし、1月下旬に発表された四半期GDP速報値以降、雇用統計を除けば、企業活動、個人消費そして住宅といった各指標データで下振れが目立っている。
「指標データ次第-Data Dependency」スタンスを掲げるイエレンFRBが、それでも6月利上げを目標に金融正常化の道をひた走るのかどうかがドル高トレンド維持の最後の砦と考えていたが、昨日公表されたFOMC議事録では、米国外のリスク要因と時期尚早の利上げが米経済に与えるネガティブインパクトについて言及。
また、フォワードガイダンスとして用いている「忍耐強くいられる(patient)」を削除した場合のマーケットの過剰反応への懸念、さらにはドル高リスクに言及する等、6月利上げ観測を後退させる内容となった。
ドル高ストーリーの軸が揺らぎ始めたことに加え、ギリシャリスクに直面しながらもEUR/USDが底堅さを保っていること、原油価格の底入れ期待を背景に資源国通貨での買戻し圧力が強まっていること、そして4月の統一地方選挙をにらんでか、これ以上のドル円上昇は避けたいとの思惑が日本サイドから感じられ始めたこと等を鑑みるに、ドル安リスクが高まっていると言える。
今後注目したいのはドルインデックス(DXY)の動向だろう。米指標データで下振れが散見され始めた1月下旬以降、DXYは93.00-95.00のレンジ相場となっている。レンジの下限を下方ブレイクする展開は、ドル安リスクが台頭してきたシグナルと捉えたい。
【テクニカル分析 :ドル円-焦点は118円前半の攻防】
レジスタンス
120.00:レジスタンスポイント
119.50:オファー
119.41:2月17&18日高値
サポート
118.50:ビッド
118.40:21日MA(赤ライン)
118.35:トライアングル下限
118.17:一目/基準線(緑ライン)
118.00:ビッド
118.00-119.50を中心レンジと想定。ドル安リスクの可能性を考えるならば、トライアングルの下限及び一目/基準線(赤ライン)の攻防に注視したい。基準線が推移するレベルから118.00にかけてはビッドが断続的に並んでいる。
一方、レンジの上限119.50レベルにはオファーが観測されている。