マーケットコメント
昨日の欧州市場は「株高・債券高(金利低下)」の展開となった。明らかにECBの緩和強化を意識した展開となっている。外為市場では上記の通りユーロ売り圧力が強まったが、欧州株高にもかかわらずEUR/JPYが下落した事実は、資金調達通貨としての妙味が円からユーロにシフトしていることを示唆している。この背景にあるのは、欧州金利(独金利)の低空飛行にあることは間違いない。事実、短期から中期ゾーンにおける日独の利回りスプレッドを確認すると、ECBによる12月の緩和強化観測を背景に10月下旬以降拡大傾向(日金利>独金利)にあることがわかる。
同じ緩和政策を導入している対円でさえユーロが下落する状況を考えるならば、イエレンFRBによる利上げ期待が高まっている米ドルに対し、さらにユーロ安が進行してもおかしくないだろう。実際、以下の比較チャートを見ると、米独金利差拡大に伴いユーロドルの下落圧力が強まっていることがわかる。オシレーター系指標では、一度ユーロのショートカバーが入る可能性を示唆しているが、そのような展開となっても、欧州金利の持続的な反発がなければユーロ相場の上値余地(特に対ドル&ポンド)は限られよう。
【ユーロドルと米独金利の比較チャート】
出所:Thomson Reuters Eikon