ビットコイン、イーサリアムやXRPなどの仮想通貨が投資対象資産としての市民権を獲得するに連れて、仮想通貨を扱う取引所の数も増えている。
取引所に関し、私たちが目にしている顕著な傾向の1つとして東アジアに拠点を置く仮想通貨取引所が増加していることが挙げられる。
この理由について、機関投資家を対象とした仮想通貨取引プラットフォームのLXDXのCEOであるJoshua Greenwald氏は、東アジア地域の法定通貨の多様性が高まっている事を挙げている。
「ヨーロッパや米国では単一通貨文化が根強いが、東アジアでは通貨の多様性に対する認識や需要が高まっている。一般ユーザー、機関投資家、リテール投資家は通貨の取引に慣れており、法定通貨は送金料金や換金料金のが高いので、特に仮想通貨は魅力的なのだろう」
東アジアにおける仮想通貨取引所の急増の背景にあるのは何か?ネオ・グローバル・キャピタル(NEO Global Capital)の創立パートナーであるTony Guは次のように述べている。
「近年、アジアは様々なTMTセクター(テクノロジー・メディア・テレコム)におけるイノベーションの中心拠点となっています。仮想通貨取引所はこれの1つの側面にすぎません。若年層の人口や、急速に変化する経済環境、急速に成長する技術開発、増大する社会的緊張、そして成熟していない規制制度など、アジアの発展にはこれらの要因が関係していると思います。」
また、Gu氏は整備されていない規制制度に関しても東アジアで仮想通貨の発展に関係があるという。
「アジアと米国の規制制度を比べると、いくつか大きな違いがある。アジアの規制は、文化的な規制と政治的な規制に分けられているという特徴がある。規制は市場が小さく、アマチュア投資家が多い中で発展していない。これらの要因によって地域間でアービトラージが可能であり、すぐにこのようなビジネスが成立するが、規制されてる訳ではなく違法ではないグレーゾーンである」
5つの東アジアの仮想通貨取引所:取引費用・手数料
注:下記の情報は調査目的のみで取得したデータです。これは投資を推薦・勧誘するものではありません。金融商品への投資は、ご自身の判断で行ってください。
1. Huibi(フォビ)
Huobi(フォビ)は2013年に設立されたシンガポールを拠点とする仮想通貨取引所である。Oracleで働いていたレオン・リー(Leon Li)が創立したこの取引所は、香港、韓国、日本、米国にオフィスを構えており、世界でも屈指の仮想通貨取引所。2018年の1月には自社トークンであるHT(Huobi Token)をリリース。同年8月には香港証券取引所に上場している桐成控股の株式の過半数を取得し裏から上場を果たしている。
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手数料:0% - 0.2%
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1000ドル分のビットコインの通常取引コスト:2ドル
2. Binance (バイナンス)
Binance(バイナンス)はアジアで複数の拠点を持つ取引所だ。2017年にChangpeng Zhao(趙長鵬)とYi Heinによって設立された。バイナンスは世界でもトップクラスの取引高を誇る仮想通貨取引所で、マルタに機能を移転するなどグローバルな展開を進めている。
- 手数料:0.02% - 0.2%
- 1000ドル分のビットコインの通常取引コスト:2ドル
3. BitMEX(ビットメックス)
BitMEX(ビットメックス)は香港を拠点としている仮想通貨取引所である。創業者の一人であるArthur Hayesはドイツ銀行とシティバンクで上場投資信託(ETF)を担当していた事もあり様々な金融に対する造詣も深い。ビットメックスでは主にビットコインFX、アルトコインFXのようなレバレッジの高い取引をサポート。2018年に入ってからは取引高が急増しており、次世代の仮想通貨取引プラットフォームとしての地位を確立している。
- 手数料:0.05% - 0.25%
- 1000ドル分のビットコインの通常取引コスト:$ 0.75(レバレッジなし)
4. Bitfinex(ビットフィネックス)
2012年に設立されたBitfinex(ビットフィネックス)もまた香港を拠点とした仮想通貨取引所。創業者はRaphael Nicolle氏とGiancarlo Devasini氏。この取引所は英領バージン諸島に登録されているiFinex Inc.が所有し運営しており、本社は香港にある。メディアの報道によると、2017年後半のビットコインの上昇の半分はBitfinexでの価格操作が疑われている。
- 料金:0% - 0.2%
- 1000ドル分のビットコインの取引コスト:$ 2
5. Bibox(ビーボックス)
Bibox(ビーボックス)は中国に拠点を置くAI関連の仮想通貨を扱う取引所。経営陣には、OKCoinの共同設立者とHuobi.comのコア創業メンバーが在籍している
- 手数料:0.1%
- 1000ドル分のビットコイン取引コスト:$ 1
取引所のハッキング
多くの仮想通貨専門家は取引所のセキュリティは向上していると言うが、最新の大規模ハッキング事件がアジアで多く発生していることを言及するべきだろう。ハッカーによって数百万ドルが盗まれる事件が引き続きニュースを賑わせ続けている。
7月に韓国の取引所Conrailにて取引所に預けられている30%にあたる NPXS、DENT、Tronなどのトークン約4,000万ドル分がハッキングされた。また前月にはもう1つの韓国の取引所Bithumb(ビッサム)もハッキングされ約3,100万ドルの損失があったばかりである。Bithumbで盗まれた仮想通貨にはビットコイン、イーサリアム、 ビットコインキャッシュが含まれている。
もちろん、リスクを最小限に抑えるための取引所を精査する方法はある。しかし、ハッキングによる取引所リスクは消えるものではない。
仮想通貨の専門家はセキュリティーは改善されたと言うが、前述のNEO Global CapitalのGu氏は、Certik社のようなスマートコントラクトによる監査や、ホット/コールドウォレット、プライベートキーの管理や不測の事態に備えた資金管理といった内部リスク管理などの強化が重要であると指摘している。