米国の反発がある中で、OPEC総会では原油の減産の方針を発表した。しかし、サウジアラビアにとって新たな問題が浮上している。原油価格が上昇しても、米国は採掘リグ数を増やす計画があることだ。
サウジアラビアを盟主とするOPECとロシアを中心とするOPECプラスは、今後6ヶ月で合計で日量120万バレルの減産を発表した。これによって原油価格は5%まで上昇したが、金曜日の終値は2%の上昇にとどまっていた。
WTI原油価格は月曜に上昇後、約52ドルまで下落している。原油価格の直近13ヶ月の最安値は11月末につけた49.41ドルである。一方 ブレント原油は、約62ドルで取引されており、0.5%以上の上昇に苦戦している。
減産量は十分だろうか?
OPECを40年間追っている専門家のDominick Chirichella氏は、減産は予想されていた通りであり「減産は十分なのか、加盟国は減産に従うことはできるのか、世界の原油在庫量が5年間の平均の水準まで戻るのにはどれくらいの期間がかかるのか、原油価格に影響するものはなんなのかなどの議論に移っている」と語る。
Energy Management Institute社のリスク・トレーディング部門のディレクターは、これらの議論は「今後数ヶ月で、何度も質問され回答する典型的な疑問」という。アナリストたちは、中国を始めとする経済の低迷によってエネルギーへの需要が弱いと予想される期間に、減産は行われるだろうと述べている。
今週市場が注目するのは、火曜日の米国エネルギー情報局(EIA)の短期エネルギー見通し(STEO)である。これは毎四半期に発表されるレポートであり、OPECの減産やカナダの減産によって注目が集まっている。カナダは米国の最大の原油輸入国であり、現在は原油安のために9%の供給をカットする計画がされている。
Chirichella氏は、もし2019年の第1四半期で供給量が需要を下回ったら、世界の原油在庫は在庫調整の局面になるというアナリストの予想に賛同する。しかし、これは「楽観的な需要に基づいている」と付け加えた。
米国の石油採掘業者によって大量生産される可能性
金曜日のOPECによる減産の発表は、長期的に影響がないと考えられる。OPECの減産の方針は2ヶ月で35%下落した原油価格の底を打つのには十分だったかもしれないが、今後6ヶ月から1年間に渡って米国の石油採掘業者による怒涛の供給量をカバーするには十分な減産ではない可能性がある。
ニューヨークのエネルギーヘッジファンドのアゲイン・キャピタル社のJohn Kilduff氏は「原油市場がこれらの減産で良くなる可能性は高いが、どれくらい回復するかは疑問である。過去一年間で原油価格が30%上昇につれて、米国は200万バレル増産している。このロジック的に、15%の上昇はさらに100万バレルの増産が考えられ、これは今回の減産を打ち消すのに十分である」と述べている。
Kiduff氏は「米国の石油採掘業者は、60ドルから70ドル価格帯だと今後一年安泰だろう。また、シェールオイルの採掘コストの効率は良くなり、パーミアンからのシェールオイルは40ドルからでも利益を挙げることができる。バッケンからのシェールオイルは50ドル中盤から後半で利益をあげられる。WTI原油は今後6ヶ月で55ドルから60ドルであると、石油採掘業者にとって良い価格水準だろう」と述べた。
米国はすでに原油を日量1170万バレル生産し、世界最大の産油国になっている。サウジアラビアは日量1110万バレルであり、ロシアは1140万バレルである。先週、米国は75年ぶりに米国は石油輸出国になった。
米国内務省の11月末の発表によると、デラウェアとパーミアンのシェール層は推定463億バレルの原油、281兆立法フィートの天然ガス、200億バレルの天然ガス液が埋蔵しているとした。
トランプ米大統領の反応はまだ
トランプ米大統領は、金曜日のOPEC総会の減産方針の発表に対してまだ何も反応していない。トランプ氏はツイッターで、原油が生産できるだけするべきであって、もっと原油価格は安くなるべきだと訴えていた。
サウジアラビア生まれ米国育ちのジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害事件はムハンマド・ビンサルマーン皇太子の関与がCIAによって疑われている。この事件を発端とした米国による制裁を、トランプ米大統領は見送っているため、サウジの原油減産の方針はトランプ米大統領の影響力が大きいと考えられていた。しかし、今回のOPEC総会で減産の方針が決定された。
また、トランプ米大統領は先週、米国以外の石油生産国に長期的なダメージを与えている。ちょうどOPEC総会が開催された木曜日に、トランプ米大統領は900万エイカーにも及ぶ土地での採掘を許可した。これらの地域は、今までオバマ政権によってキジオライチョウの保護地域であり、豊富な石油が埋蔵されているのにも関わらず採掘禁止区域であった。