ビヨンド・ミート(NASDAQ:BYND)の株価は上昇しており、まだピークに達した様子をみせていない。2019年で最も成功したIPOとなった同社は、植物由来の人工肉を生産している。
同社は先週、上場以来初となる決算報告を発表し、アナリスト予想を上回った。その結果、7日の同株は前日比約39%高となった。ますます多くのレストランやスーパーマーケットでハンバーガーのパテやソーセージなどの同社製品が販売されている。
7日の上昇以前、同株はIPO時の25ドルから既に約300%高となっていた。7日の終値は138.65ドル、10日の終値はさらに21%上昇して168.1ドルとなった。同社の四半期決算を読み解くことで、株価の急騰の原因が分かるだろう。
ビヨンド・ミートの急成長
ビヨンド・ミートの業績はアナリスト予想を上回った。5月2日のIPO以来初となる四半期決算で、1-3月期の売上高は、前年同期の1280万ドルに対して4020万ドルとなった。
同社は純損失が前年同期の570万ドルに対して660万ドル、1株当たり0.95ドルとなったことを報告した。アナリスト予想では、売上高が3890万ドル、純損失が670万ドルとなっていた。
同社は引き続き赤字となっているが、経営陣は2019年内に調整後EBITDAがプラスに転じることを予想している。同社は今年度の売上高が前年比140%増で2億1000万ドルを上回ると予想している。
「堅調な1-3月期決算は、米国内外の主要な消費者が植物由来の人工肉を求めていることを示している」と同社のイーサン・ブラウンCEOは述べた。また、「第1四半期決算を受けて、我々は小売りとサービスの両面から事業をスケールし続ける」と発言した。
楽観的な経営陣に加えて、その他にも同社が投資家に好感された理由が考えられる。同社は過去18か月間でTGIフライデーズ、デルタコ、カールスジュニアなどのハンバーガーチェーンにハンバーガーパティを提供することで合意に達している。カナダの「ティムホートンズ」では、同社の人工肉を使った朝食サンドウィッチを開始した。
さらに、同社の製品は11000を超える米国内のスーパーマーケットで人気を博している。同社の増収は米国消費者の植物由来人口肉への関心の増加を示している。
高すぎる株価と競合他社
しかし、ビヨンド・ミートの急騰によって慎重な投資家は割高感を感じている。7日に39%高となった後、同社の時価総額は80億ドルに近づいており、他の大手食品企業と肩を並べる時価総額となっている。
米国最大の食肉会社であるタイソン・フーズ(NYSE:TSN)の時価総額は300億ドルであり、今年度は売上高が430億ドルに達すると見られている。ビヨンド・ミートは先週の決算前、企業価値と1年間の売上見通しの倍率は19倍となっていた。タイソン・フーズと比べると明らかに割高な倍率である。
もちろん、ビヨンド・ミートなどの成長企業を成熟企業と比較することは不適切かもしれない。しかし、投資家は同社の成長シナリオが損なわれる要因を考慮に入れるべきである。
例えば、ビヨンドミートの成功を背景に、競合が人工肉業界への進出の準備を進めていることは留意すべきである。ネスレ(SIX:NESN)は植物由来の人工肉である「Awesome Burger」を今年下旬に販売する見込みである。また、タイソンも今年下旬に人工肉の販売を予定している。
バンク・オブ・アメリカのアナリストであるBryan Spillane氏は、ビヨンド・ミートの製造に使われる押出成形の技術は食品業界でとても一般的な方法であり、参入障壁は相当低いとリサーチノートの中で述べた。
また同氏によると、同社の製品価格がさらに上がると、将来の成長が限定的になる可能性がある。ビヨンド・ミートバーガーの平均小売価格は1ポンドあたり12ドルとなっている一方、通常のビーフパティは1ポンド当たり4ドルである。
総括
ビヨンド・ミートは植物由来の人工肉で成功を収めている。しかし、多くの既存の食品企業が2019年内に人工肉業界への参入を計画している。
競争が激化した際、ビヨンド・ミートが競合に対して優位性を築けるとは考えにくい。7日の急騰で利益が出た投資家は同株を売却し利益を確定させるべきである。その他の投資家はより良いエントリーポイントを待つべきである。