FRBによる利下げ観測が高まる中、配当銘柄が買い時になっている。
FF金利先物を考慮すると、現在2.5%の政策金利は2021年までに1.5%へ引き下げられることが織り込まれていることが窺える。
ブルームバーグによると、10日時点で年内の利下げ確率は98.1%を織り込んでいるという。
FRBのハト派姿勢が強まる中、米10年債利回りは2.065まで低下している。
一方で、AT&T(NYSE:T)とBCE(NYSE:BCE)の年間配当利回りはそれぞれ6%、5%を超えている。
現在の金利環境においてこの配当利回りは非常に魅力的であると言える。
それではこれらの企業のリスクを吟味してみよう。
AT&T
世界最大の通信キャリア、米AT&T株は過去2年間で15%以上低下している。13日は32.18ドルで終値を迎えた。
なお同時期の2年間でS&P 500は18%以上上昇している。
消費者が従来の有料テレビからネットフリックス(NASDAQ:NFLX)等の手頃な価格のエンタメに流れる中、AT&Tは改革に向け取り組んできた。
同社は前年、HBOやCNN等の人気テレビチャンネルを有するタイム・ワーナーを850億ドルで買収した。
しかしこの買収でAT&Tの負債は膨らみ、運営も複雑になった。
同社は1690億ドルの負債を抱えている。タイム・ワーナー買収による負債の4分の3は年内に支払われる見通し。
AT&Tの予想配当利回りは6.67%、四半期EPSは0.51ドル。同社の再建が結実しなければ150億ドルの配当額は今後引き下げられる可能性がある。
BCE
カナダ通信最大手のBCEは、同国内3大キャリアの一角として支配的なポジションを獲得している。
同社は通信ネットワークや家庭用インターネット、メディア運営など事業を多角化しており顧客数は堅調に増加している。
BCEは過去5年間で適切に投資を行い、積極的に株主還元を行ってきた。
また、同社はインターネット通信の高速化や5G通信実装に向け巨額の投資を行ってきた。
AT&Tとは対照的に、BCE株は今年18%上昇し堅調に推移している。12日は46.88ドルで終値を迎えた。
BCEは年間5%の増配を行う方針を維持している。増配に向けキャッシュフローを改善すべく、一連の買収を行ってきた。
直近では2017年にマニトバ・テレコム・サービシズを買収しており、売上高・純利益ともに改善されている。
配当方針として、同社はフリーキャッシュフローの65-75%を配当に充てている。
この方針に沿って、BCEは2008年10-12月期以降の10年で年間配当額を倍増させた。配当額は現在1株あたり2.37ドルで、配当利回りは5%を超えている。
総括
これらの2銘柄は堅実な収入を望む長期投資家には良い選択だ。
市場の先行きが不透明になる時期でも、これら通信大手銘柄のボラティリティはさほど増大しない。通信サービスはすでに生活インフラとなっており不況にも強いことが主な理由だ。
キャッシュフローも安定しており、長期保有銘柄としてはうってつけだ。
我々がAT&TとBCEから選ぶなら、安定した株価と負債の少なさを理由として後者に軍配が上がる。
AT&Tの配当利回りは魅力的ではある。しかしタイム・ワーナーの巨額買収による負債額を考慮すると、長期投資家にとっては幾分リスキーな選択と言えるだろう。