先週では米中貿易合意が楽観視され、米国株式市場は続伸し、すべての主要な指数の終値は最高値圏に達している。S&P500は5週連続で上昇し、11月では1.8%の上昇となっている。
しかしトランプ米大統領は8日、対中関税の撤廃に関して合意していないと述べ、中国の報道官が7日、お互いの追加関税を段階的に撤廃していくことで合意した報道を否定し再びマーケットに緊張が走っている。
そのようなマクロ環境の中、投資家が注目するべき決算を控える3企業を紹介する。
1. ティルレイ(Tilray)
ブリティッシュコロンビア州ナナイモに拠点を置く大麻企業のティルレイ (NASDAQ:TLRY)は、11月12日(火)の引け後に2019年度第3四半期(7-9月期)決算を発表する。 予想売上高は4939万ドル、予想一株当たり利益(EPS)は-0.30ドルの赤字である。
8月の第2四半期(4-6月期)決算報告では、市場予想を上回った損失となった(EBITDA)。売上高は4590万ドルで市場予想(4030万ドル)を上回ってはいたが、1790万ドルという税引前損失を嫌気し同社株は売られた。
ティルレイは損失の増加は事業拡大による運用コストの上昇、転換社債による支払利息、企業買収、および海外展開による費用のためであると述べている。
カナダの大麻合法化によって、ティルレイ株は2018年9月に300ドルの高値を記録したが、大麻セクターは今年軒並み下落した。同社株は典型的なバブルとなった大麻銘柄の一つとなった。今週の決算では、最新の大麻セクターの動向として注目されるだろう。
先週金曜日の終値は23.42ドルとなり、年初来では70%の下落となっている。売上高で大きな改善が見られない限り、同社株価には厳しい目が向けられることになるだろう。
2. ウォルマート(Walmart)
世界経済の不確実性にもかかわらず、米国の消費者信頼感は依然として強い。これはアメリカ最大の小売業者であるウォルマート (NYSE:WMT)にも恩恵がもたらされる可能性がある。
ウォルマートは11月14日(木)の寄り付き前に決算を発表する予定である。市場予想は、売上高1285.7億ドル、EPSは1.09ドルとなっている。
ウォルマートは堅調な収益とオンライン販売の増加を期待されている中、株価は年初来28%の上昇となっている。先週金曜日の終値は0.7%安の119.44ドルとなった。
ウォルマートの前回の決算(5-7月期)では、継続的な低失業率の中、より強い個人消費が見込まれ、売上高の増加に繋がる可能性を示唆していた。
5-7月期決算では、国内で売上が前年比2.8%増加した。前年同期では過去10年で最高の4.5%の四半期成長率であったため、さらに2.8%の増加はとても強い伸びである。
ウォルマートの堅調な売上とオンライン展開は、投資家が注目すべき2つのポイントである。
3. エヌビディア(NVIDIA)
11月14日(木)の引け後には、世界最大の半導体メーカーの1つであるエヌビディア (NASDAQ:NVDA)が、第3四半期(8-10月期)決算を発表する。市場予想では、売上高が29.2億ドル、EPSが1.58ドルとなっている。
半導体銘柄は景気敏感株であり、米中貿易戦争による影響を受けていた。今回のエヌビディアの決算では、特にゲーム用のグラフィックボードの需要と、データセンター向け製品の売上高が注目されるだろう。
5-7月期では、グラフィックボードとデータセンター向けのパーツの売上回復の兆候が見られ、売上高とEPSどちらも市場予想を上回る結果となっていた。
ジェンセン・フアンCEOは、ゲーム用グラフィックボードと人工知能用のプロセッサーの需要減は、一時的なものであったと述べる。
これらの好材料の中でエヌビディアは8月以来上昇を続けている。今週の決算報告によって、さらなる上昇が期待される。先週金曜日の終値は207.78ドルであり、年初来55%の上昇となっている。