半導体銘柄の力強い上昇が、年初来で継続している。
インテル (NASDAQ:INTC)やエヌビディア (NASDAQ:NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (NASDAQ:AMD)などを含む、フィラデルフィア半導体株指数は年初来で約45%高となっており、S&P500の24%高をアウトパフォームしている。
スマートフォンやクラウドコンピューティング、データセンターなどによる需要拡大を受け、半導体業界は好況に沸いている。しかし昨年は貿易戦争のあおりを受け、半導体企業の株価は低迷した。
米中間の緊張は緩和し、FRBが金融緩和へ前向きになる中で、一部の投資家は半導体銘柄がさらに値を上げると見ている。しかし、我々の考えでは、半導体銘柄にとってリスクとなる要素が、依然として存在している。
1つ目のリスクは、米中貿易摩擦が完全には解決していない点である。株式市場は米中貿易に対して期待感を抱いているものの、通商交渉の詳細はほとんど明らかになっていない。
業績に対する不確実性
ドナルド・トランプ米大統領は22日、中国との通商合意は間近であると述べた。しかし、中国の習近平国家主席は、米中貿易に関して前向きなシグナルを一切発していない。その一方で、必要に応じて中国も「反撃する」と述べた。通商協議が決裂する場合や合意内容が投資家の期待を下回る場合、半導体企業の株価は大きく値を下げる可能性がある。
2つ目のリスクは、半導体業界の見通しが不透明である点だ。第3四半期決算では、各半導体企業がまちまちな決算報告を行った。
グラフィックボード最大手のエヌビディアは11月上旬、アナリスト予想を上回る第3四半期決算を報告した。しかし、同社は弱気な業績見通しを示しており、グラフィックボードへの需要回復が予想より遅いことを明らかにした。
テキサス・インスツルメンツ (NASDAQ:TXN)は第3四半期決算において、「半導体需要は弱まった」と述べ、軟調な第4四半期の業績見通しを示した。同社は幅広い顧客層を有しており、半導体業界の先駆者と言われている。.
これらの弱気な決算報告をよそに、半導体銘柄は値を上げて取引されている。アナリストは、第3四半期が半導体産業の好不況サイクルの底であったと見ている。したがって、2020年の第3四半期決算では、半導体企業がその他のテック企業を上回る決算を示すことが予想される。
総括
これら2つのリスクを考慮すると、半導体銘柄への投資はお勧めできない。米中貿易摩擦の激化や中国・米国経済の鈍化など、依然として下振れリスクが存在している。