昨年は好調に推移した半導体銘柄は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け大きく値を下げた。世界経済が不況に転じつつあり、半導体需要の崩壊が懸念されている。
新型コロナウイルスが経済に与えた影響は計り知れないが、一部の半導体銘柄はパンデミック終息後に反発する可能性がある。
以下がその3銘柄である。
1.マイクロン
マイクロン・テクノロジー (NASDAQ:MU)は、PCやサーバーで一般的に使用されているメモリチップの種類であるDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)に特化している。
31日の終値は42.06ドルとなり、3月18日の52週間安値である31.13ドルから約38%高となっている。
新型コロナウイルスが拡大する中、リモートワークやゲーム、Eコマースなどにより、データセンターから同社半導体への需要が強まると見られている。
また、在宅勤務が増え、学生がオンライン授業を受講するようになることで、ノートPCメーカーへの半導体販売が増加すると予想されている。
「マイクロンは、COVID-19のパンデミックが拡大しているにもかかわらず、第2四半期の業績は予想レンジの上限で堅調に推移した」と、同社CEOのサンジャイ・メロトラ氏は述べた。第2四半期(12-2月期)における同社の売上高は48億ドル、EPSが45セントとなり、予想売上高の46.9億ドル、予想EPSの37セントを上回った。
同社は第3四半期(3-5月期)の業績に対して、EPSを40セントから70セント、売上高を46億ドルから52億ドルのレンジで予想している。他方、アナリスト予想ではEPSが54セント、売上高が49.1億ドルとなっている。
「半導体への長期的な需要を満たし、この困難な時期を乗り切ることができるだろう」とメロトラ氏は述べた。
2.エヌビディア
エヌビディア (NASDAQ:NVDA) は、携帯電話、パソコン、ノートパソコン、ゲーム機、データセンターなどで使用されている高性能グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)に強みを持つ。同社は過去4四半期の収益とEPSで、予想を上回っている。
同株は3月18日の年初来安値から約45%高となっている。1日の終値は263.60ドル、時価総額は1613ドルとなっている。
データセンターからの需要増に加え、医学研究におけるGPU需要も増加すると見られている。同社のGPUを利用したゲノム分析ツールキットは新型コロナウイルスの研究に用いられるだろう。
Needham社のアナリストであるRajvindra Gill氏は以下のように述べる。
「同社のGPUは、30億塩基対からなるヒトゲノムの解析を、数日から1時間以内に高速化することができる」
「医療分野、特に医薬品開発の分野で同社GPUへの需要増を予想している」
Gill氏は3月24日、同株をホールドから買い推奨に格上げした。
3.ザイリンクス
FPGAを中心としたプログラマブルロジックデバイスを開発する米半導体企業であるザイリンクス (NASDAQ:XLNX)は、3月12日に52週間ぶり安値を記録して以来約17%高となっている。1日の終値は77.94ドル、時価総額は193億9000万ドルとなっている。
同社はデータセンター用半導体需要の増加から恩恵を受ける可能性が高い。また、長期的には5Gによって、収益の成長はさらに加速するだろう。
ゴールドマン・サックスのアナリストである播俊也氏は3月24日、同株を中立から買いに格上げした。
シティのアナリストであるChristopher Danely氏もまた3月24日のリサーチノートで、新型コロナウイルスの不確実性の中、ザイリンクスは半導体銘柄における「避難場所」になりそうだと述べた。同氏は過去に、「ザイリンクスのような持続可能な粗利益率を持つ銘柄がアウトパフォームするだろう」と指摘した。
同社の次の決算報告は4月22日である。コンセンサスによると、第4四半期(1-3月期)決算ではEPSが67セント、売上高が7億5460万ドルとなっている。