コモディティを取引している投資家で、ボラティリティの高い今年の市場環境下において、ここまで生き残ってきたことをまずは祝福したい。
2022年まであと1週間となり、リスクおよび恐怖との戦いは最終局面を迎えている。原油の強気筋は70ドル台後半(可能であれば80ドル台)で今年を終えようとしているし、{{68|金}の投資家は先週まで買い支えていた1800ドル台で取引を終えようとしている。
しかし、年末の出来高は例年よりも少なく、コロナ禍も続いているなか、特に原油価格の変動はまだまだ落ち着きをみせていない。
クリスマス休暇中の米国では、悪天候とオミクロン株による感染被害が出ていることから、航空会社は数千のフライトをキャンセルせざるを得ない展開となった。
フライトはともかく、少なくとも3隻のクルーズ船内でコロナ感染者が出たため、予定されていた寄港もできずに帰港を余儀なくされた。
オミクロン株の脅威が旅行および原油価格を圧迫
クリスマスと年末休暇は、一般的に旅行のピークであり、ジェット燃料の消費量を上げる要因となる。航空業界がこのような幸せな時期を迎えたのは、コロナウイルスのパンデミックが世界的に広がる前の2019年だった。
航空会社の欠航を余儀なくされている理由の一つに、機内でコロナウイルスの陽性反応が出たり、感染が確認されたパイロットや客室乗務員が隔離せざるをえなかったりすることが挙げられる。
オミクロン株は11月に初めて検出され、現在では米国での感染者の4分の3近くを占め、東海岸などの一部の地域では90%にも達している。ロイター通信の集計によると、米国で新たに発生したコロナウイルスの平均感染者数は、過去1週間で1日あたり17万9,000人と45%増加している。
急速に広がるオミクロン株は、2020年3月に大流行したオリジナルのCOVID-19株や、今年猛威を振るったデルタ株よりも致死率が低いという研究結果が出ているが、だからといって自分や濃厚接触者が感染した時点で危機感を緩める人はほとんどいない。
しかし、ウイルスに対するワクチンやブースターが容易に入手できるようになり、Pfizer (NYSE:PFE)による世界初の対コロナウイルスの経口治療薬のような新しい治療法が承認されているため、多くの人々は注意を無視したり、リスクを取ったりしている。
ロイター通信の報道によると、一部の空港では混乱が生じているものの、「昨年のクリスマスよりは良い状態にある」とし、「コロナの影響を受けているフライトはごく一部に過ぎない」とホワイトハウスの関係者が匿名で語ったとのことである。
オミクロン株をめぐる懸念が続いていることから、今週月曜日のアジア取引時間では、原油価格は最初約0.5%下落したが、欧米の取引時間には反発する可能性がかなり高くなっている。
シンガポール時間午前10時30分(ニューヨーク時間午後9時30分)、米国原油価格の指標である ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は、先週4%増の1バレル73.79ドルで終了した後、足元は73.50ドルを下回る水準で推移している。
2020年にWTIは21%下落した後、今年は足元までに51%の上昇を示している。しかし、この2ヶ月半の間、原油価格は大きく変動しており、10月中旬に85.41ドルという7年ぶりの高値を記録した後、65ドル以下に下落している。
2022年、金はその輝きを増す可能性
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で最も活発に取引されている2月限の金先物は、金曜日の終値である1オンス1,811ドルを上回り、5週間ぶりの高値を記録した。これは、インフレに対するヘッジとして金を求める投資家が増加したためである。
金は伝統的にインフレ・ヘッジとなる投資先として注目されてきたが、今年初め、コロナウイルスの大流行から力強く回復を遂げている米国経済においては、物価上昇圧力が強まる中では、金の価格が着実に下落したため、インフレ・ヘッジとしての存在感は薄まっていた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が、パンデミック時代に開始した景気刺激策を終了し、2020年3月のコロナ禍発生以来初めて利上げのスケジュールを早めることを発表したにもかかわらず、金価格は最近上昇している。FRBは2022年に最大で3回の利上げを行う可能性があるとしている。
オンライン取引プラットフォームOANDAのアナリストであるEd Moya氏は、木曜日に発表されたFRBが注視しているインフレ指標である個人消費支出指数(PCE)が11月までの1年間で5.7%成長したことを受け、金曜日に次のように述べている。
「インフレ・リスクは依然として高いため、2022年は金にとっては良好な年になるだろう。」
過去データまで遡ってみると、PCEの年間成長率としては39年ぶりの大きさであった。これに先立ち、11月までの1年間で米国の消費者物価指数(CPI)は6.8%上昇し、こちらも1982年以来では最も物価上昇ペースが速いことを示唆している。また11月に発表された米国の生産者価格は前年同期比+9.6%を記録している。
ほとんどの場合、利上げ観測は金にとって悪材料である。しかし今回は、金のトレーダーは米国のインフレ動向により注目している様子であり、金はインフレに対するヘッジとして伝統的な役割を果たすことが期待されている。とはいえもちろん、FRBによる金融緩和の縮小は金にとってはネガティブであることを忘れてはいけない。
1月に1,980ドル目前まで上昇した後、8月には17ヶ月ぶりの安値1,680ドルまで下落し、年初来では約5.5%の下落となっている。2020年は、2020年8月に2,120ドルを超える史上最高値を記録した後、22%の上昇で終えている。
免責事項:Barani Krishnan氏は、あらゆる金融市場の分析に多様性を持たせるために、自分以外の様々な見解を引用している。中立性を保つために時には逆張りの意見や市場の変動要因を提示している。同氏は、自身が執筆する商品や証券のポジションを保有していない。
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