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Allstateは軟調な企業決算を発表 今後の取引方法を考える

発行済 2021-12-28 09:52
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  • 保険会社Allstateの株価は2021年年初来約4%上昇

  • 11月初旬に発表された第3四半期の企業決算は市場予想を下回る弱い内容

  • 長期投資家は、同社株を特に110ドル以下に下落した場合、押し目買いのチャンス

  • 損害保険会社Allstate (NYSE:ALL)の株価は、年初来約3.8%上昇している。これに対し、Dow Jones Insurance Indexのリターンは約26%のプラスだ。一方、保険大手UnitedHealth Group (NYSE:UNH)の株価は、2021年直近までで41%上昇している。

    年初、Allstate株は上昇基調で取引されていたが、2021年年末にかけてリターンは軟調なものになっている。好調な第1四半期の業績を受けて、5月26日に同社株価は140ドルとなり、過去最高値を記録した。その後、短期的な利益確定売りがみられた後、再び数ヶ月ぶりの高値となり、株価は140ドル近くまで回復した。

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    しかしそれ以降、株価は約18.5%下落し、現在は114ドル前後で推移している。足元の株価でみると、配当利回りは2.84%だ。52週間の株価レンジは102.55ドル~140.00ドルで、時価総額は327億ドルとなっている。

    米国の自動車保険市場の規模は3,100億ドルを大きく超え、Allstate社は市場シェアではトップ5に入っている。同様に、損害保険分野でもトップの一角を占める。

    11月3日に同社が発表した第3四半期決算の内容には注意が必要だ。売上高は124億8,000万ドルで、前年同期比で16.9%の増加を意味する一方で、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、2020年第3四半期の2.87ドルに対して73セントと大幅に減少している。この大幅な減少は主に、自動車保険および家財保険における非災害部門での損失の増加を反映したものだ。

    Tom Wilson最高経営責任者(CEO)は、決算発表後に次のように述べている。

    自動車保険は、サプライチェーンの混乱により、中古車や純正部品の価格が急激に上昇したため、当四半期に引受損失を計上した。(中略)当社が取り組んでいる事業戦略は短期的な変動に対応できるだけでなく、長期的な価値を高めることができている。」

    経営陣が示した明るい声明は投資家の不安感を完全に払拭することができていない。四半期決算発表前、株価は125ドル前後で推移してたが、その後、12月9日には106.11ドルという日中の最安値を記録した。12月24日は114.13ドルで取引を終了している。

    Allstate株に期待すること

    Investing.comで調査した17人のアナリストの評価をみると、Allstate社の株式は「ニュートラル」の評価を受けている。

    ALL Consensus Estimates

    出所:Investing.com

    アナリスト予想による、今後12ヶ月間の目標株価の中央値は129.46ドルで、これは現在の水準から13%以上の上昇を意味する。12ヶ月間の価格レンジ予想は、現在105ドルから176ドルだ。

    ALL Fair Value

    出所:InvestingPro

    同様に、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、株価売上高倍率(PSR)、DuPont分析など、多くの評価モデルによると、InvestingProによる同社の平均適正株価は141.46ドルとなっており、約24%の上昇余地があることを示唆している。

    さらに、100以上の要素を金融セクターの同業他社と比較してランキングすることで、同社の財務の健全性をはかることができる。Allstate社は、レラティブ・バリューと収益の健全性の観点から、5点満点中4点の評価を獲得し、全体的なパフォーマンスは”Great”と評価されている。

    同社の連続PER、PBR、PSRは、それぞれ5.1倍、1.3倍、0.6倍で、これに対し、同業他社のこれらの指標はそれぞれ9.6倍、0.9倍、1.1倍である。言い換えれば、現在の株価水準は魅力的な投資機会である可能性がある。

    最後に、テクニカル・チャートを好む投資家は、同社株のいくつかの長期指標が売られすぎのシグナルを示しており、8月以降の下落が一巡した可能性を示唆していることに興味を持つかもしれない。

    今後数週間で、Allstate株は110ドルから120ドルの間で取引される可能性があり、新たなレッグがベースを形成すると予想される。

    Allstate株をポートフォリオに組み入れる

    短期的なボラティリティを気にしない、向こう2~3年の観点で株をみているAllstateの強気派は、長期的なポートフォリオ運用において、現在の株価水準で同社株を買うことを検討すると良いかもしれない。いくつかのモデルで示唆されている適正株価である141.46ドルを目標株価とする事もできる。

    あるいは、同社株を組み入れているETF(上場投資信託)の購入を検討することも可能だ。例として、Invesco KBW Property & Casualty Insurance ETF (NASDAQ:KBWP)、iShares U.S. Insurance ETF (NYSE:IAK)、Siren DIVCON Dividend Defender ETF (NYSE:DFND)などが挙げられる。

    最後に、オプション戦略の経験が豊富で、同社の株式がさらに下落する可能性があると考えている人は、ベア・プット・スプレッドを行うこともできるだろう。

    ほとんどのオプション戦略は、一般の個人投資家には適していない。したがって、以下の説明は教育目的であり、一般の個人投資家が実際に行うべき戦略ではないことには注意してほしい。

    キャッシュ・セキュアード・プットの売り

    Allstate株が今後数週間で高値を更新し続けると考える投資家は、同社株のキャッシュ・セキュアード・プットの売りを検討するのはどうだろうか。この投資手法はこれまでも言及してきたものだ。この戦略はオプションを伴うため、すべての投資家に適しているものではない。

    ある投資家がAllstateの株式を購入したいが、現在の株価である114.13ドルを払いたくないと仮定する。代わりに、この投資家は今後数ヶ月以内に株式を割引価格で購入したいと考えている。

    この場合、投資方法の1つは、同社の株価が下がるのを待つことだが、これは実現するかどうかわからない。もう1つの可能性は、同社株のキャッシュ・セキュアード・プット・オプションを売ることである。

    後者においては投資家は通常、アット・ザ・マネー(ATM)またはアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のプット・オプションを組成し、同時に100株を購入できるだけの現金を用意する。

    オプションの権利行使期限である2022年2月18日までこの取引を行うとしよう。現在の株価が114.13ドルなので、OTMのプット・オプションの権利行使価格を110ドルであるとする。

    したがって、オプションの買い手が、売り手に対してオプションの権利行使した場合、売り手は同社株を行使価格110ドルで100株購入しなければならない。

    現在、同社株の2022年2月18日期限の権利行使価格110ドルのプット・オプションは、2.63ドルの価格(またはプレミアム)で取引されている。

    オプションの買い手は、オプションの売り手に対して、2.63ドル×100、つまり263ドルのプレミアムを支払う。このプレミアム額は、将来何が起こっても、オプションの売り手が受け取ることができる。プット・オプションは、2月18日(金)に権利行使期限を迎える。

    株価が権利行使価格の110ドル以上で期限となった場合、売り手の最大の利益はこのプレミアム額となる。この日を限りにこのオプションは失効する。

    2月18日の満期までにプット・オプションがイン・ザ・マネーになった場合(株価が行使価格110.00ドルを下回った場合)、このプット・オプションを行使することができる。この場合、売り手はプット・オプションの権利行使価格である110ドルで100株購入する義務を負うことになる(つまり、合計11,000ドル支払う)。

    この例の損益分岐点は、権利行使価格(110.00ドル)から受け取ったオプション・プレミアム(2.63ドル)を差し引いた107.37ドルである。この価格以下になれば、オプションの売り手は損失を被り始める。

    キャッシュ・セキュアード・プットの売りは、現在の市場価格で企業の株式を買い取るよりも、適度に保守的な投資手法だ。これは今後数週間の株価変動を利用して、取引を行う方法である。

    プットを売った結果、同社株を保有することになった投資家は、さらにカバード・コールの設定を検討して、株式の潜在的なリターンを増やすこともできるだろう。このように、キャッシュ・セキュアード・プットの売りは、株式所有の第一歩ともいえる。

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