昨日、S&P 500種指数は今年つけた最高値に迫る水準まで上昇したが、金投資家にとっては、 金価格が5週半振りの高値に上昇したことの方により関心があるかもしれない。
FRBが最近タカ派に転じたことを考えると、貴金属の上昇は米ドル安に起因するものではないだろう。実際、米ドルは1年半ぶりの高値から1%以内に収まっており、金価格を押し上げるどころか、圧迫するはずだ。
しかし、オミクロン株が急速に広まったことで、投資家は株式投資を通じてリスクを取りつつも、安全資産を保有し続けていると考えられる。もちろん、金は典型的な安全資産である。
また、インフレ・ヘッジとしての目的から金が買われているかもしれない。しかし、FRBが金融政策の引き締めを続けることから、インフレ・ヘッジとしての需要が薄れることも考えられ、その点では金のニーズは失われていくかもしれない。インフレはすぐに緩和されるかもしれない。サプライチェーンの混乱がようやく緩和され、自動車メーカーは待望の部品を手に入れることができたことなどから、発表された日本の11月の鉱工業生産は、過去最高の水準となり、価格上昇と供給不足を一部解消することができていることが確認された。
これらのことは、長期的には金のファンダメンタルズにとって良好なことであり、ドルの購買力が低下して、金価格の上昇基調が加速しないとしても、安全資産として上昇する可能性はある。テクニカルな観点からも、旺盛な需要が金価格を押し上げると期待できる。
金はラウンディング・ボトムを完成させたかもしれない。このパターンはいつ完成したかを見極めるのが難しい。
経験豊富なトレーダーは、200日移動平均線がブレイクした後はサポートに転じることから、自然なネックラインとしてこの移動平均線をみているだろう。一方、初心者のトレーダーは、11月26日の高値1,819.30ドルを上回る終値を待って、このパターンが完成したと判断するかもしれない。この記事を書いている時点で、価格はまさにこの部分に位置している。相対力指数(RSI)と移動平均収束拡散手法(MACD)はともに高値更新を示唆している。
ラウンディング・ボトムの暗示するものは、金価格をテクニカル的な観点で新たな節目に向かわせることである。
短期的な底打ちにより、8月以降の下落トレンド・ラインまで上昇する可能性がある。このトレンド・ラインは売りが入る水準を表している。
厄介なのは買い手の関心の方だ。4月6日のライジング・ギャップ以降のフラット・サポートを追いかけるべきだろうか。それとも、3月8日以降のものに現在の買い手は関心をもっているだろうか。
ここでの違いは、フラットでの買い手と上昇局面での売り手はいずれも意識としては弱気である一方、上昇基調での買い手と同じく上昇基調での売り手の意識はニュートラルであるということだ。しかし、足元価格トレンドは上昇していることから、シンメトリカル・トライアングルは元の方向にブレイクし、今後強気になることが予想される。
このようなチャート上の不確実性は、現実世界での確信のなさを反映したものであり、金トレーダーは現在の環境下でどのように行動すべきか判断がついていないことを示している。
しかし良いニュースは、どのようなパターンであっても、上方向にブレイク・アウトすれば、その動きは強気を示すものであるということだ。あるいは、パターンの天井から跳ね返されてパターンの底に向かって下落基調に入ってしまうと、弱気モードになってしまう可能性もある。
そのため、小口のエントリーに分けて、モニター・トレードを行うのが良いだろう。まず、日次のラウンディング・ボトムに注目し、その後、リスク許容度と予算に応じて、長期パターンのトップに着目しよう。これを踏まえて、以下に2つのアプローチの可能性を示した。
トレーディング戦略 - ロング・ポジションのセットアップ
慎重なトレーダーは、このパターンの最高値である1819.30ドル以上で引けるまで待つだろう。
穏健派のトレーダーは、価格が200日移動平均線を再度試すまで待つかもしれない。
積極的なトレーダーは、11月26日の日中の高値がレジスタンスとなっている現在のセッションの高値でショートして、損切りラインを近くに置き、価格が200日移動平均線に戻ったときに穏健派のトレーダーと合流するという、逆張りのトレードを行うことができる。投資資金の管理が重要だ。下記の例をみてほしい。
トレード例 – 逆張り投資家のショート・ポジション
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エントリー価格:1,819.30ドル
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損切り価格:1,820.00ドル
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リスク:0.70ドル
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目標価格: 1,812.30ドル
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リターン:7ドル
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リスク・リターン・レシオ:1:10
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