この記事はInvesting.comの独占記事。
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APA:2021年後半にすでに投資チャンス到来
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天然ガスのボラティリティが再び上昇
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ウクライナをめぐるロシアと米国の緊張により、欧州で大幅な供給不足が発生する可能性
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LNG出荷を迂回させるために腕をひねろうとするバイデン政権
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APAは引き続き大きな上昇余地の可能性
暗号資産を除けば、天然ガスほど乱高下する市場はない。1月27日、NYMEXの天然ガス先物2月限は1MMBtuあたり7.3460ドルと爆発的に上昇し、10月の連続先物取引の高値6.466ドルを超え、天然ガスが最後に1MMBtuあたり10ドルを上回って取引されて以来、最高値に上昇した。
天然ガスは地殻の中にあるときと同じように、先物市場でも爆発的な人気を博している。天然ガス先物市場もまた、爆発的に上昇するのと同様に一気に下落する可能性がある。2021年10月初旬、天然ガスは2020年6月に25年ぶりの安値となる1.432ドルまで値下がった後、1MMBtuあたり6.466ドルまで上昇した。その後4.5倍以上に上昇した後、12月下旬に3.536ドルの安値に調整し、1月27日に再び2倍以上に上昇した。
現在有効な3月限は、12月下旬に3.416ドルまで下落したがその後、2月上旬には5.572ドルに達し、1カ月余りで63%超の上昇となった。
天然ガスのボラティリティは、これまで少なからぬ市場参加者を窮地に追い込んできた。しかし、2020年6月の安値からの上昇トレンドと米国のエネルギー政策の転換により、米国の天然ガス生産者は1MMBtu当たり4ドルを超える価格でも安心して動向を見守ってられるようになった。
株式投資家は、伝統的なエネルギー市場の強気トレンドから利益を得ている石油・ガス生産者であるAPA Corporation (NASDAQ:APA)を通じてこの上昇トレンドに乗ることができる。
APA:2021年後半にすでに投資チャンス到来
2021年の最終週、APA Corporationについて書いた。当記事では、APAが2022年に向けて良い投資対象である理由を5つ説明した。12月28日、APAの株価は1株あたり27.93ドルで取引を終えた。それ以来、株価は上昇基調を続けている。
APAは石油と天然ガスの探査と抽出を行っている。12月28日、NYMEXの原油l先物3月限は1バレル75.60ドル台、天然ガス3月物は1MMBtuあたり3.742ドルで取引されていた。2月7日の原油先物3月限は91.65ドルで21.2%高、天然ガス3月物は4.20ドルで12.2%高となっている。1株当たり34.09ドルのAPAは、ほぼ22%高にまで値上がりした。
天然ガスのボラティリティが再び上昇
天然ガスの価格は、原燃料のように不安定だ。1月下旬にNYMEX先物2月限が満期を迎え、価格は2008年以来の高値に急騰した。
出所:CQG
NYMEX天然ガス先物は、直近で1MMBtuあたり7.346ドルの高値まで爆発的に上昇したことが分かる。3月限の高値は、今年2月2日につけた5.572ドルだった。
天然ガス取引では、爆発的な上昇と下落の両方がみられる。最近、米国では2つの冬の嵐が発生し、この数週間暖房需要が増加した。米国の天然ガス在庫は1月28日に終わる週に、昨年の水準と5年間の平均を下回った。
出所:EIA
このグラフは、1月末の全米の貯蔵量が2兆3,230億立方フィートで、昨年より14.5%、5年平均より5.8%少ないことを表している。天然ガス価格の変動は再び高まっているが、当価格を押し上げたのは天候以外の要因も挙げられる。
ウクライナをめぐるロシアと米国の緊張により、欧州で大幅な供給不足が発生する可能性
ロシアは欧州の多くに天然ガスを供給しており、現在価格は高騰している。ウクライナの国境には10万人以上のロシア軍が駐留しており、米国とロシア、NATOとロシアの間の緊張は高まっている。ロシアはウクライナのNATO加盟を望んでおらず、米国と欧州に同国が加入しないことの保証を求めている。この対立は、西側が東ヨーロッパの自由国家とみなし、ロシアが西ロシアとみなす国(両方ウクライナを指す)への侵攻の可能性を高めている。
この緊張は、ロシアから欧州への天然ガスの流れを中断させ、深刻な燃料不足を引き起こす恐れがある。米国の天然ガス先物市場は、NYMEX先物の受け渡し地点がルイジアナ州イーラスにあるヘンリーハブであることから、海外情勢からは距離をおいている。
しかし、パイプラインから液化天然ガスに天然ガスを加工する技術の進歩により、エネルギー市場はより国際的なものとなっている。天然ガスは、北米のパイプライン網をはるかに超えた地点まで、海上輸送されるようになった。
液化天然ガス出荷を迂回させるために腕をひねろうとするバイデン政権
天然ガスを液化天然ガス(LNG)に加工する企業では、欧州やアジアからの需要が高まっている。過去数年間、アジアの消費者は液化天然ガスの長期供給契約を結んでいる。LNG加工業者の大手であるCheniere Energy (NYSE:LNG)のような企業は、今後数年間の供給量が不足し、増産に苦慮しているようだ。
一方、ロシアとの緊張関係から、米国政府は米国の生産者に対し、アジアから欧州へのLNG出荷を迂回させるよう要請している。ウクライナでの敵対行為は欧州での供給不足を招き、アジアの消費者からLNGを欧州に回すようになればアジアで供給不足を招くことになる。NYMEXの天然ガスは国内市場として長い歴史を持つが、LNGによって事業はグローバルに展開されるようになった。
APAは引き続き大きな上昇余地の可能性
米国では気候変動問題への対応として、規制が大幅に強化され、炭化水素市場への新規参入の足かせとなっている。さらに既存企業は、インフレ圧力の高まりによる生産コストの上昇と労働力不足に直面している。
このような環境では、価格上昇によって利益が急増するため、既存の生産者にとっては競争がなくなる。APAの株価は2月上旬現在、強気のトレンドが続いており、さらなる上昇の余地は大きいと思われる。
出所:Barchart
APA良いの株価は12月28日以降22.4%上昇し、現在34ドル台にあるが、上値余地は十分にある。チャートをみると、次のテクニカルなレジスタンス水準は2018年10月の高値である50.03ドルだろう。そこを超えるとさらなる上昇が期待できそうだ。
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APAは2016年12月に69ドルで取引
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前回原油価格が1バレル100ドルを超えた2014年7月に株価は104.57ドルの高値まで上昇
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金融危機後のコモディティ・ラリーの絶頂期である2011年4月に134.13ドルの高値を記録。
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原油価格が史上最高値を更新し、天然ガスが1MMBtu当たり10ドル台で取引された2008年5月に149.23ドルの史上最高値を記録。
レジスタンスの少ないAPA株、原油、天然ガスはいずれも足元高止まりしている。しかし、価格が上昇すればするほど、調整される可能性は高くなる。
強気市場の調整は、迅速かつ厄介になることがあるので注意が必要だ。同社には株高余地が十分にあるため、一時的な下落局面は押し目買いの好機であるとみている。
2018年10月の高値である50.03ドルを突破すれば、株価は一層上昇する可能性がある。APAは1月に、2020年1月の高値33.77ドルの第一レジスタンスを超えて上昇し、高値・安値の弱気トレンドに終止符を打った。引き続き、APAが一時的に弱含んだ場合でも強気見通しを維持する。