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Jim Chanos:有力な空売り筋
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大成功したDraftKingsの空売り
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最新の空売りターゲット:Coinbase
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ベア・トレンドに入ったCOIN株
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面倒な暗号資産取引:Tesla株ではショート筋が敗北
空売りは、割高と思われる企業の株式を売却して利益を得ようとする投資手法だ。株を所有するのではなく、株を借りて、後で安い値段で買い戻して貸し手に返すというスキームだ。
空売りは、ファンダメンタルズ分析を用いてバリュー・ギャップを発見するため、株式市場には欠かせない存在である。資産の価値は、買い手がいくらで買い、売り手がいくらで売るかによって決まる。空売りは、現在または将来の利益、収益、その他企業価値を決定する要因を反映していないような割高水準にあると思われる銘柄が標的となる。
最も成功した空売り筋の中には、株価が持続不可能な水準まで上昇するような投機が横行している時期を狙っている者もいる。暗号資産は投機の申し子となっている。Bitcoinは2010年の5セントから取引を開始したが、2021年11月中旬の7万ドル近くまで上昇し、投機的な買いが殺到した。
暗号資産取引所は、この資産クラスの取引と投資を促進するプラットフォームだ。Coinbase Global (NASDAQ:COIN)は、2021年4月の取引初日に1株当たり429.54ドルの高値まで爆発的に上昇した大手取引所である。デラウェア州ウィルミントンを拠点とする同社は、ピーク時に約1000億ドルの時価総額を記録した。
月曜日の終値で、COIN株は201.41ドルで、2021年4月の高値の半分以下の価格で取引されている。現在、当社株は最も注目されている空売り筋の標的になっている。
Jim Chanos:有力な空売り筋
Jim Chanos氏は、空売りに特化した投資ファンド、Kynikos Associatesの創設者である。Kynikosとはギリシャ語で「犬のような」という意味で、かつて皮肉屋を犬と呼んでいた。
2001年にエンロンが破綻するずっと前から、同氏はエンロンの財務諸表に不正があることを見抜き、株を空売りしていた。彼のファンドは、空売りで5億ドル以上の利益を得た。
大成功したDraftKingsの空売り
2021年12月、同氏はボストンに拠点を置くデジタル・スポーツ・ベッティング企業、DraftKings (NASDAQ:DKNG)の株式を大幅にショートしていることを明らかにした。彼は同社について下記の通り語っている。
「DKNGは今、収益の30倍のバリエーションを有している。スポーツ・ベッティングの将来性を信じるのは勝手だが...このビジネスモデルには欠陥がある。」
彼は、DKNGがコストを増やさずに収益を4倍にしても、毎四半期2億ドルの損失を出す可能性があると指摘し、こう付け加えた。
「これはまったくもって、完璧に正気の沙汰でない」。
出所:Barchart
グラフが示すように、DKNG株は2021年3月の高値74.38ドルから、3月15日の安値14.97ドルまで下落した。3月18日、Chanos氏は「状況は改善するどころか悪化している」と、依然として同社株に対して弱気な発言をしている。DKNGの株価は3月28日の終値で18ドル台後半になっている。
最新の空売りターゲット:Coinbase
同氏の最近のお気に入りのショート・ポジションは、暗号通貨取引所のコインベースだ。
3月18日に彼は下記のような発言をしている。
「コインベースはバブル株と呼ぶにふさわしい。」
「コインベースは、おそらく今年は利益を上げられないだろう」と指摘し、さらに、暗号資産業界の競争の激化によって、同社は収益減少に終わる可能性があることを意味する。
コインベース株は2021年4月14日にNASDAQに上場した。上場前の価格は1株250ドルだったが、取引所がサポートする暗号資産にふさわしい投機的な熱狂の中で、株価は381ドルで上場した。
株価は1000億ドル近い時価総額となり、老舗の取引プラットフォームであるChicago Mercantile Exchange (NASDAQ:CME)や Intercontinental Exchange (NYSE:ICE)を超える高値に達した。
ベア・トレンドに入ったCOIN株
COINの株価は、上場日の2021年4月14日の429.54ドルから下落し、2022年3月15日には150.12ドルと史上最安値まで下落した。
出所:Barchart
上記のグラフをみるとCOIN株が大きく下落していることがわかる。Chanos氏は時価総額が409億ドルを超えてもなお、過大評価されたままだと考えている。暗号資産全体をどのようにみているかを反映しているのではなく、今後数年間の暗号資産取引所における株価下落の蓋然性の高さに基づいていると述べている。
「同様の取引所と比較して(中略)基本的にコインベースは稼ぎすぎだと考える」と話す。
簡単に言えば、Chanosは、COINは取引手数料を削減する必要があり、これによって収益を圧迫すると考えている。そして株式をショートするに至った。
面倒な暗号資産取引:Tesla株ではショート筋が敗北
COINは暗号資産市場において面倒な存在である。同社はノミ屋であり、取引商品の価格水準ではなく、取引量によって収益を上げる。したがって、暗号資産の弱気な時期や停滞期よりも、投機的な活動が集まる強気市場の方が儲かる傾向がある。
Chanos氏は割高な企業の株式を空売りすることを専門とする成功した投資家である。彼はこれまで大儲けしてきたが、彼の判断が常に正しいわけではない。
2020年12月、彼はTesla (NASDAQ:TSLA)株のショート・ポジションを終了し、CEOのElon Muskに「よくやった」と告げた。その時、TSLA株は718.72ドルの高値圏で推移していた。
同氏がショート・ポジションを放棄して以来、株価は2021年11月に高値1243.49ドルまで上昇し、3月28日の終値で1株当たり1091ドルを超えている。
COINで再び勝利を収めることができるのか、それともTSLAのときのように敗北宣言をするのか、いずれわかることになる。多くの市場参加者が彼に追随しているため、COINのショート・スクイーズの可能性は高い。
GameStop (NYSE:GME)やAMC Entertainment (NYSE:AMC)など、おそらく最も有名な「ミーム株」の株価にその現象の影響を目撃している。
COIN株は今後数週間から数ヶ月の間、暗号資産やそれが取引される市場と同様に変動性が大きいとみられる。有名な空売りは、価格変動の可能性を高める。