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「ショルダーシーズン」の天候がようやく到来したことで、天然ガスの高値は一服する可能性

発行済 2022-05-12 23:58
更新済 2020-09-02 15:05

天然ガスの上昇は鈍化しているのだろうか。ある意味、その答えは天候にあるのかもしれない。米国の重要な地域ではようやく晴天になりつつある。

天然ガス 日次チャート

しかし、米国東部の天然ガス市場は、暖房や冷房を必要としない穏やかな気候になるどころか、この5週間は予想以上に寒気に覆われ、当地域における暖房需要が依然として旺盛で予想以上に天然ガスが消費される結果となった。

天候の好転は、毎週木曜日に米国エネルギー省から発表される天然ガスの貯蔵量が増加し始めることを意味する。電力会社は発電のために以前より少ない量の天然ガスだけを燃やし、残りを地下の貯蔵庫に多くの天然ガスを注入し始めるからである。

この結果、ヘンリー・ハブにおける天然ガス価格の上昇圧力が緩和されることになる。

ヒューストンに本拠を置く天然ガス市場コンサルタント会社Gelber & Associatesのアナリストは、水曜日に顧客へのメモで、「5月の注入量に関して、今後2週間は5年平均と同レベルを維持し、5月末の良好な天候によって注入量が増え、最終的にそれぞれの週の5年平均注入量を上回ると予測される」と述べている。

「その結果、天然ガス価格が高騰しても、貯蔵量と5年平均の総在庫量の間の3060億立方フィート(306bcf)の膨大な不足は縮小し、今後起こる価格高騰の度合いを制限する可能性があるとみている」と予想する。

しかし、ヘンリー・ハブの日々の変動をみていると、市場はまだ価格上昇に期待していることがわかる。

ヘンリー・ハブにおける6月限は木曜日に上昇軌道を再開し、35セント近く上昇して7.72ドルになった。これは、月曜日に1ドル以上の暴落で、金曜日からの上昇の基盤を揺るがした後であり、2008年8月以来の9ドル台まで接近するほどの上昇である。

先週まで、この上昇は10ドルに達するまで止まらないという見方が積み重ねられていた。多くの強気筋は、気温が急上昇し、米国人がエアコンを最大にせざるを得なくなるこの夏までに、2008年の高値である13ドル以上まで値上がりするのをまだ期待している。その頃、欧州の液化天然ガス(LNG)需要に不測の事態が発生すれば、上昇に拍車がかかる可能性もある。

しかし今のところ、3月と4月に2カ月連続で28%上昇したが、天候の変化と貯蔵量のわずかな改善によって売り圧力は強まっており、市場のボラティリティがより大きくなりそうだ。

テクニカル・チャートも弱気転換の可能性を示している。

「7.29ドルを下回ると、7.03ドルまで下落し、6.43ドルの下降線を再び試す可能性がある」とskcharting.comのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、Sunil Kumar Dixit氏は言う。

「しかし、7.72ドル以上の持続的な動きは、8.06まで上値を伸ばすことができ、十分な買い越しがあれば、8.996を再び試すだろう」と付け加えた。

天然ガス 貯蔵量

出所:Gelber & Associates

Investing.comが追跡しているアナリストは、天然ガスの貯蔵量が前年同時期の70bcfの貯蔵と5年間(2017-2021)平均82bcfの貯蔵に対して5月2日の週は79bcf増加したと考えている。

4月25日の週に、電力会社は77bcfを貯蔵庫に追加していた。

アナリストのコンセンサス予想が正しければ、先週の貯蔵量は1兆646億立方フィート(1.646tcf)に増加し、5年平均を約15.8&、前年同週を18.5%下回ることになる。

ロイターの関連データ・プロバイダーであるRefinitivによれば、先週の総気象温度(TDD)は71であり、30年来の平年値である67TDDに比べ、低い値であった。

TDDは家庭や企業の冷暖房需要を予測するために用いられ、1日の平均気温が華氏65度(摂氏18度)を何度下回ったか、あるいは上回ったかを測定するものだ。

全体として、天候による変化を差し引くと、先週の市場は需要がやや緩んだ。

国内生産の増加がカナダからの輸入の減少で相殺され、供給バランスは先週と比較して比較的横ばいとなった。

一方、メキシコのLNG輸出は日量約0.1bcf減少し、LNG輸出平均は前週比横ばいとなった。

先週の天然ガス需要増加の最大の要因は、発電源の変更であった。関係者によると、全米の風力発電量は1時間当たり平均約51,000メガワットで、独立系供給事業者は天然ガスへの依存度を高めざるを得ず、貯蔵量の推定値が10bcf以上減少した。

Bespoke Weather Servicesによると、今後2週間とそれ以降、米国南部の大部分で季節的に厳しい暑さと強い冷房需要が予測されるとのことだ。冷房日数(CDD)は月が進むにつれて蓄積され、価格の下支えとなることが予想される。

「CDDが需要の主要な原動力となる時期に来ている」と、Bespokeはnaturalgasintel.comにコメントを寄せた。

「今週末から来週初めにかけては南部の暑さに注目する必要があり、ダラスやサンアントニオなどでは5月中旬に最高気温が華氏100度を超える危険性が非常に高い。」

風も今週末のテキサスでは控えめであることが証明されると予想され、Bespokeは「電力燃焼をかなり強くすることができる」と付け加えた。その後、南部の暑さは弱まるものの、5月末から6月にかけては平年より高めの気温が続くとみている。」

一方、春のメンテナンス作業による中断にもかかわらず、米国のLNG輸出量は5月に12bcf/日以上を維持している。これは、欧州がロシアの天然ガスの輸入を縮小しているためであり、米国の供給がその穴を埋めるのに役立っているためだ。

免責事項:Barani Krishnanは、あらゆる市場の分析に多様性を持たせるため、自身の見解以外の様々な見解を用いている。中立性を保つため、時には逆張りの見解や市場の変動要因を提示することもある。また、執筆しているコモディティおよび有価証券のポジションは保有していない。

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