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週次インフレの見通し:無能かそれ以上か?

発行済 2022-06-21 10:52
更新済 2024-02-22 23:00

当記事はInvesting.comの独占記事

「FRBは積極的に検討しているものではない」と公言してからわずか数週間で、FRBのパウエル議長が一度に基準金利を0.75%引き上げるという積極的な利上げを先週実施した。どうやら、FRBは消極的には検討していたようだ。

5年物TIPS(米国物価連動国債)の実質利回りは週に0.44%、10年物の実質利回りは0.28%上昇したが、そのほとんどはFOMC前に、FOMCが基準金利を実際に0.75%引き上げるという情報が「流布」したためである。

3月以降、米国5年物実質利回りは2.2%、同10年物実質利回りは+1.7%となっている(図表参照)。これは株式にとって不利ものであり、今後もこの状態が続くだろう。

もちろん、債券市場も荒れた動きをしている。古典的な60-40(株式60%、債券40%)ポートフォリオは1月以来18%下落している。「Risk Parity(リスク選好型)」ポートフォリオはそれ以上に下げている。Toroso Risk Parity ETF (NYSE:RPAR) は-20.6%だ。

5年、10年実質利回り

しかし、助けは来るのだろうか?今週は5年物と10年物のインフレ・スワップがそれぞれ0.25%と0.2%低下し、ウクライナ侵攻前の2月の水準に近づいている。週次での変化は明らかにFRBの利上げに対する反応だが、以前にも指摘したように、4月の高値からの下落の多くは、先延ばしされた物価水準期待が今週まで実際には全く下がっていなかったためだ(下図は、2027年12月のCPI先物の理論価格が存在した場合のものだ)。

CPI 先物

出所:Enduring Investments

それでも、今週の市場ベースのインフレ予想値の低下は、FRBが「インフレ予想の固定解除」の前に戻っている。このインフレ問題がさらに手に負えなくなることを防ぐために前進している、という安心感を与えるだろうし、おそらく今後もそうだろう。

残念ながら、この点については正しいとは言えないかもしれない。先週のコラム({art-200625838||One Experiment Ends and Another Begins}})で書いたように、金利を上げ、準備金を無視することによって、FRBはお金の量ではなく物価にだけ対処している...そして我々はこれまでインフレ対策としてこのような戦略を展開したことがなかった。

個人的には、物価よりも通貨量の方が重要だと思うので、彼らの行動が私たちが期待すると言われているような抑制効果をもたらすとは思わない(確かに、インフレはベース効果だけでいつかは収束するだろうが、前年比コアCPIが3%以下に戻るまでは彼らの政策を収束させるべきではない)。

一方、米国政府はこの1週間、石油メジャーに対して、法外な利益について苦言を呈した。バイデン大統領は、大手石油会社に対する書簡で、「通常を大幅に上回る製油所の利益分を米国の一般家庭に直接転嫁することは容認できない」と述べた[1]。

確かにそうだが、このような状態は、彼自身の政策の結果によるところが大きい:戦略石油備蓄の放出が少なくとも原油価格には一時的な下落圧力をもたらしたけれど、景気刺激策による莫大な需要がガソリン需要に上昇圧力をかけたからだ。

その結果、クラック・スプレッドが拡大し、石油会社に精製を促そうとするのであれば、まさに望むところである。この矛盾は偶然なのだろうか?バイデン大統領の書簡はさらに、「私は、米国人に安価で安全なエネルギー供給を行うための障害に対処するため、適宜、あらゆる手段を用いる用意がある」と述べている。これは、5月に下院を通過した、大統領に緊急事態を宣言する権限を与え、ガソリンや家庭用エネルギー燃料の価格を「過剰な」方法で引き上げることを違法とする法案に続く言及である。「価格統制 」とでも言うの だろうか?

一歩下がって、...

一方では、価格統制について話すのは馬鹿げているように思える。理論的にはうまくいかないし、実際にもうまくいかないことは、歴史的な経験が十分証明している。現在の価格より低く設定された価格統制は、品不足を引き起こし、取引が闇市場に移行するため政府の歳入が縮小することは言うまでもない(これが暗号資産の救いなのかもしれない!)。

このテーマで議論をするのは馬鹿げている。価格統制ができるのは、報告されるインフレ率の数値を(一時的に)下げることだけだ...

ああ、今わかった。

また、石油会社に対する「棚ぼた式利益」への課税を議論するのも馬鹿げている。石油会社は、「価格つり上げ」によって現在のインフレ危機を悪化させていると政権や他の人々から非難されている(まるで、どの会社も世界のコモディティ市場に対して、価格つり上げができるほどの力を持っているような言い方だ)。

10億バレルの未開発の原油埋蔵量を持つ企業は、利益が高ければ再生不可能な埋蔵量を採掘するリスクを負うだろうが、採掘をすることで超過利潤税を取られるくらいなら埋蔵量をそのままにしておく可能性のほうが高い。

そして、予想収益が低下することで、探査量も低下する。このような政策は、石油会社を非難し、電気自動車以外のドライバー不足を招くことになり、価格を下げるどころか、価格の上昇を招き、高価格が長期に続くことになりそうである。

ああ、今わかったよ。

先週出演したテレビ番組で、無能と悪意の違いを見分けるのは難しいことがあると発言した。個人的には、人は概して善意を持っているが、その実行力は乏しいと思わざるを得ない。

問題は、現代貨幣理論(MMT)、価格統制、生産者への懲罰的課税を追求するために必要な、とんでもない無能さを信じることがますます難しくなっていることだ。例えば、バーナンキ前FRB議長が住宅バブルを見抜けなかったことは信じられるが、見抜けなかったことで得られるものは本当に何もなかったのだから。2020年後半にMMTを信じる(あるいは信じるふりをする)誘惑は非常に強かったのだ。

ここで問題なのは、「無能」という説明を信じることができない限り、価格統制が実施され、風評被害による利益税が起こるだろう、ということである。これらはひどい経済政策だ。しかし、政治としてはどうだろう?良い政策立案者とみる人もいるかもしれない。

中期的には、どちらの政策もインフレの原因に対処しておらず、実際、価格統制と生産者処罰の両方が不均衡を悪化させることになるので、これはインフレの拡大を意味し、縮小することはできない。

この悪化を減らすべきである。つまり、政策立案者が無能であることを祈るしかないのである。

Michael Ashton、通称「インフレ・ガイ」はEnduring Investments, LLCのManaging principalである。インフレ市場のパイオニアであり、経済インフレの攻撃から富を守ることを専門とし、Cents and Sensibility podcastでそれについて話している。


[1] これは前週の発言に続くもので、エクソンは「今年は神より儲かった」と述べた。公平にみて、国内の殺人や自殺の増加傾向から判断すると、もしかしたらエクソンは神よりも良い年だったのかもしれない。

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