USDは、今朝、全般的にほとんど変化せず、DXY指数はほぼ正確に、昨日、私がこのコメントを書いた時点と同じ水準となった。私には、これは、市場が、USDの広範な動きというよりもむしろ、水曜日のFOMCの議事録とバーナンキ議長のスピーチによって生じた混乱が、各通貨の利点に基づく各通貨の取引を行う方向に回帰したことを受け、市場が落ち着きを取戻しつつあることを示しているように見受けられる。このトレンドによって、USDは徐々に回復すると考えられる。マーケットリポートは、USDが、失業保険申請件数が予想よりも悪かった(新規失業保険申請件数および継続失業保険申請件数は予想を上回り、さらに前週の水準をも上回った)ことを受けて弱含んだと伝えたが、このニュースが発表された30分後に、USDは実際にピークを付けたため、そのニュースがどの程度USD安の原因になったかは不明である。
オーバーナイトでは2つの重要な動きが見られた。一方で、オーストラリアの5月の住宅ローンの伸びが予想を下回ったため、AUDとNZDは弱含んだ。来週に中国のGDPデータの発表を控え、中国の成長に対する懸念も、AUDおよびNZDの足かせとなっている。しかし、CADが、米国の刺激策が継続されるとの期待から上昇し、地理的位置が、「コモディティー」通貨としての分類と同様に重要であることを示した。注目すべきその他の動きはGBPで、主要通貨の中では最高のパフォーマンスを示した。投資家とアナリストは、イングランド銀行の新総裁が、金融政策委員会によるさらなる量的緩和に対する抵抗に打ち勝つことができる可能性について再考し始めている。完全な買い入れ額の増加が実現する可能性はないかもしれないが、カーニー氏自身が指摘するとおり、中央銀行が取り得るその他の手法があると考えられる。同行は、そうした手法を導入し、その結果GBPは弱含むと予想される。
本日発表されるその他の指標は、ユーロ圏の5月の鉱工業生産指数である。ドイツの鉱工業生産指数は、予想を下回ったが、フランスとイタリアの鉱工業生産指数は、わずかに予想を上回ったため、本日のユーロ圏の数値がどちらの結果に傾く可能性もある。市場のコンセンサスは、前月比で4月の+0.4%から-0.3%になると予想しており、これはどちらかと言えば、軟調なユーロ圏の経済見通しを裏付けることになり、これによってEURにはマイナス材料となるだろう。米国の6月の製造業価格指数は、本日遅くに発表される予定で、前月比0.5%のプラス、除く食料およびエネルギーでは+0.1%が予想され、いずれのケースも前月と同水準である。これによって、量的緩和の縮小を延期し、それによってUSDが弱含む可能性のあるデフレ懸念が抑制される可能性がある。7月のミシガン大学消費者信頼感指数は、84.1から84.7への上昇が予想され、これはUSDにとってサポート材料となるだろう。FRBのプロッサー氏とブラード氏は、パネルディスカッションにおいて、中央銀行について討論する。彼らが、FOMCのスタンスに対して再び新たな混乱を招く可能性がある。
注: 「概観」分析は、キプロス時間の午前7時~午前7時までの価格に基づいて行われたものであるが、その次のテクニカル分析は、夜中の12時~夜中の12時に基づいて行われたものである。この結果「上昇」と「下落」に関して、何等かの齟齬が見られる可能性があるが、見通しは変わらない。
マーケット
EUR/USD
• 昨日、EUR/USDは引き続き上昇し、モメンタムを示す強力な指標によって裏付けられたため、水曜日のブレイクアウト後の上昇をさらに続ける可能性は高い。しかし、昨日同ペアは、上昇幅のわずか半分をどうにか維持したに過ぎず、この日の午後に下方調整が入り、1.3014でサポートを見出した。
• レジスタンス水準は1.3200(昨日の高値)と1.3290に見出すことができ、1.3014と1.2890にサポートを見出すことができる。
USD/JPY
• USDの全般的な売りを受け、USD/JPYは引き続き下落した。ただし、USD/JPYのより長期的な見通しは強気で、ストキャスティック・オシレーターが、売られ過ぎの領域を離れたため、当分の間、一層下落する可能性は高い。当原稿執筆現在において、同ペアは、99.00の重要な水準にある。
• レジスタンス水準は、99.80~100.00領域前後と100.70に見出される可能性があり、サポートは98.60と97.00にある。
AUD/USD
• AUD/USDは、この4日間で大きく変動したが、0.9170領域のフラットな水準でこの日を終え、同ペアは、どちらの方向にブレイクアウトするかを見極めるための様子見モードに入った。昨日の高値である0.9300の突破により、同ペアにおける全般的な下方トレンドにおいて変化が見られる可能性があり、0.9460まで上昇する可能性もある。
• レジスタンス水準は、0.9290と0.9350にあり、サポートは、0.9130と0.9070にある。
金
• 金は、昨日、引き続き上昇し、その後その上昇の半分を戻し、それから、1283.00領域前後で保ち合いとなった。最近のブレイクアウトを考えれば、買われ過ぎの領域から脱出しているため、さらなる上昇推移の可能性もある。
• レジスタンス水準は1297.75ドルで見出される可能性があり、これを突破すると、1343ドルまで導かれ、1260ドルにサポートがあり、次のサポートは1226.50に現れるだろう。
原油
• ここ数日、観察されているWTIの上昇の動きは、4時間ボリンジャーバンド水準である峠を上回って突破するには至らなかった。しかし、WTIは、上昇トレンドを維持しており、午前中の数時間において、ボリンジャーバンドの中央に位置する104.50のサポートから反発したため、この下落は一段落し、上昇の動きが再開される可能性は高い。
• レジスタンス水準は107.40(昨日の高値)で見出される可能性があり、これを突破すれば、108.30まで推移し、サポートが103.40、その後101.70で見出されるだろう。
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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