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株式市場は過去3週間で最悪の暴落に見舞われる
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イールド・カーブのフラット化
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{0|ビットコイン}}は2つの弱気パターンを完成
先週金曜日に発表された米国の消費者物価指数(CPI)が予想を大きく上回ったため、投資家は今週の米連邦準備制度理事会(FOMC)による政策金利の決定に備えようという動きになっている。またインフレ懸念が続く中、景気減速の手がかりを求めて債券市場に注目する投資家も多い。米国債利回りは先週金曜日に上昇した。長期金利の指標である米国10年債利回りが2018年以来の高水準に上昇するなか、米国2年債利回りも10年以上ぶりの高水準を記録した。
先週も同様に、米国株式市場は3週間の下落の中でも最悪の売りに見舞われた。インフレの深刻化により、米金融政策当局が継続的に利上げに積極的な姿勢を取らざるを得ないとの懸念から市場の弱気モードが加速し、CPI発表前から下落基調が始まっていた。
株式は売られ、特に一般消費財、ハイテク、金融株が圧迫
S&P 500は、今年2番目の急落で、10週中9週目の低下となった。インフレを先取りして抑制するための金融引き締めの適切なバランスを、FRBがみつけられないのではないかという懸念が高まる中、先週金曜日は2.9%の下落を記録した。市場は、FRBがインフレ率の高止まりを容認し続けるのか、サプライ・チェーンのボトルネックに苦しむ景気を後退させるリスクを冒すかを懸念している。
SP500の11セクターのうち、一般消費財セクターはアンダーパフォームし、金曜日だけで4%急落した。一方、生活必需品は0.4%の下落で、値下がり幅は前者の10分の1にとどまった。消費者が必需品以外の支出を減らす一方で、必要な衛生用品や食料品の購入は続けるというのが、高止まりするインフレの理由とみられている。
今こそ一般消費財株に賭ける絶好のチャンスと、逆張りを考えるアナリストもいる。彼らは、インフレはピークに達したと主張する。しかし、ファンダメンタルズではまだ強気にはなれないし、テクニカルでも楽観視はできない。
価格は継続的に下落チャネルを下回り、需要の弱体化を示している。現在、200週移動平均線(200WMA)も割り込もうとしている。最初期のコロナ禍を除き、2010年以降、200WMAが相場を支えてきた。
テクノロジー株は、先週金曜日に2番目に悪いパフォーマンスをつけ、3.8%下落した。
4月に同セクターはヘッド・アンド・ショルダー(H&S)のトップを完成し、5~6月にそれが確認され、今後の下値を示唆した。
3番目にパフォーマンスが悪かったセクターは金融で、3.6%下落した。これを受けて、一部のアナリストはゴールドマン・サックス (NYSE:GS)とウェルズ・ファーゴ (NYSE:WFC)株を買い評価とした。両銘柄とも、それぞれの簿価を割り込んでいる。
GSは金曜日に急落し、2021年1月以来の低水準となった。しかし、今は反発の可能性があるとするテクニカル分析による議論がある。
株価は2007年と2018年の高値を結ぶトレンド・ラインでサポートされた。
同時に、ウェルズ・ファーゴは2021年4月以来の安値に下落したものの、WFC株の反発を示唆するテクニカルな論拠は得られていない。
NASDAQ 100は3.6%急落し、主要株価指数をアンダーパフォームした。小型株のラッセル2000は2.7%下落し、優良株のダウ平均も低下している。
NASDAQ 100も先週最後の3日間では最悪のパフォーマンスとなり、その間に6.9%の値下がりとなった。
現在投資家は、この暴落が一巡したのか、それとも株価がさらに下落する余地があるのかを見極めようとしているところだ。現在、FRBはさらに50bpsの利上げを行うというのがコンセンサスとなっている。しかし、消費者物価指数で測定されるインフレ率は5月に年率8.6%上昇し、1981年12月以来の高水準となった。変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアCPIも+6%と急上昇した。
市場は、2日間のFOMC会合と金利決定後のFRBのパウエル議長の記者会見が何らかの答えを出すことを期待している。このため、パウエル議長がどのような発言をするのかに注目が集まっている。パウエル議長の発言は、9月に何を計画しているかというFRBの考え方の手がかりを引き出すことを期待して、慎重に解釈されることになる。
以前に発表したガイダンスに何かを追加するならば、それはタカ派的であろうとみられる。そうでなければ、市場はハト派的と受け止めるかもしれない。
先週のイール・ドカーブはフラット化、米国2年債利回りが同10年債利回りに対して上昇した。
長短金利差が縮小することは、景気後退の可能性が高まることを意味する。
株式とは反対に、ドルは3日続伸し、5月12日につけた2002年以来の高値まであと0.7%というところまで上昇した。
また、金もドル高にもかかわらず、安全資産としての地位から上昇し、5月6日以来の高値を記録した。
金は、上昇トレンド・ラインと200日移動平均線(200DMA)からのバウンスを拡大した。
ビットコインは底を打ったと話題になった後、6日連続で下落し、2020年12月以来の安値となった。
ビットコインは、巨大なダブル・トップのスリムなネックライン上で継続パターンを完成させ、一桁の数千ドルの価格への回復が予想される。
Oilは2日続落して先週の取引を終了した。2008年以来の高値である3月8日の終値以来となる高値から急落した。
今週の予定
時間はすべて米国東部時間で記載
月曜日
2:00: 英国 – GDP:前回は前四半期比0.8%、前月比-0.1%
2:00: 英国 – 製造業生産指数:前月比-0.2%から0.2%への上昇を予想
火曜日
2:00: 英国 – 平均給与指数+ボーナス: 4月には7.0%から7.6%への上昇を予想
2:00: 英国 – 失業保険申請件数: -56.9千件から-42.5千件への上昇を予想
5:00: ドイツ – ZEW景況感指数: -34.3から-27.5への上昇を予想
8:30: 米国 – PPI: 0.5%から0.8%への上昇を予想
22:00: 中国 – 鉱工業生産: -2.9%から-0.5%への上昇を予想
水曜日
8:30: 米国 – コア小売売上高: 前月比0.6%から0.8%への上昇を予想
8:30: 米国 – 小売売上高: 前月比0.9%から0.2%への低下を予想
10:30: 米国 – 原油在庫: 2.025Mから-1.917Mへの低下を予想
14:00: 米国 – FOMC 政策金利の決定
木曜日
7:00: 英国 – イングランド銀行 金利発表: 1.00%から1.25%への利上げを予想
8:30: 米国 – 建設許可件数: 1.823Mから1.787Mへの低下を予想
8:30: 米国 – 新規失業保険申請件数: 229千件から215千件への低下を予想
23:00: 日本 – 日銀金融政策決定会合: -0.10%での据え置きを予想
金曜日
5:00: ユーロ圏 – CPI: 8.1%での横ばいを予想
8:45: 米国 – FRBのパウエル議長の発言