米国の9月の非農業部門雇用者数は、予想の18万人を下回る14万8千人の増加となり、2012年6月以来で最も悪い結果となった。この結果は、16日間にわたる政府の一部閉鎖の前に、既に景気が勢いを喪失しつつあったことを示している。期待外れの雇用統計により、FRBは、現在の毎月850億ドルの債券買い入れの縮小を3月まで開始しないであろうとの見通しが強まった。
USDは、通貨バスケットに対して8ヵ月ぶりの新たな価格に達した。火曜日には、EURが1.3792ドルまで上昇し、2011年11月半ば以来の高値となった。EURは1.3780ドルに留まった。AUD/USDは、予想よりも高いインフレ率が発表され、中央銀行によるさらなる利下げ観測が後退したことを受け、5ヵ月ぶりの高値を付けた。
米国の雇用統計が予想よりも不調であったため、貴金属などの安全資産は押し上げられた。金は、1オンス1,339.55ドルと、4週間ぶりの高値まで上昇した。コモディティーに関しては、米エネルギー情報局が、原油在庫の増加を発表したことを受け、原油価格は98.24ドルまで下落した。欧州から発表される指標銘柄であるブレント原油価格は、米国とOPECの主要原油供給国であるサウジアラビアとの間の関係が悪化したとのニュースを受け、ジリ高となった。
本日、欧州の朝は、英国のニュースと共に開けた。イングランド銀行は、10月8日~9日に開催され、主要レートを記録的低水準である0.5%で据え置き、債券買い入れプログラムを3750億ポンドに据え置いた金融政策委員会の議事録を公表した。本日遅くには、米国が、週1で発表される10月18日のMBA住宅ローン申請件数と(参照可能な予想はなし)、8月の住宅価格指数を発表する。同指数は、7月の前月比+1.0%から鈍化して、前月比+0.8%を示すと予想される。その2時間後には、ユーロ圏の10月の消費者信頼感指数が発表される予定で、若干の上昇が予想される(前月の-14.9に対し、予想は-14.5)。同時に、カナダ銀行が、金利決定を公表する。金利は1.00%で据え置かれると予想されている。その後、金融政策の報告に関して議論すべく、ポロズ総裁による記者会見が予定されている。オーバーナイトでは、ニュージーランドが、9月の貿易収支を発表する。赤字幅は、前回発表の11億9100万ニュージーランドドルから、6億8千万ニュージーランドドルまで縮小すると予想される。中国の10月のPMI速報値も発表される。数値は、50.2から50.4へと若干の上昇が予想されている。
マーケット
EUR/USD
• EUR/USDは、昨日の、予想よりも少ない非農業部門雇用者数を受けて、急騰した。同ペアは、トライアングルの幅の161.8%フィボナッチ・イクステンション水準にどうにか達し、現在、1.3800(R1)の重要な水準を下回って推移している。ロング派が昨日からのこの勢いを継続し、どうにかこの天井を突破することができれば、次のレジスタンス・バリアーである1.3858(R2)に向けてさらに上昇すると予想される。MACDオシレーターはトリガー・ラインを上方にクロスしており、昨日の加速を裏付けている。RSIは、買われ過ぎの領域に入っていることから、近い将来の保ち合いの可能性も無視できない。レートの上昇予想は、50期間移動平均が引き続き200期間移動平均を上回っており、上方を示していることによっても裏付けられている。
• サポート:1.3750 (S1), 1.3706 (S2), 1.3644 (S3)
• レジスタンス:1.3800 (R1), 1.3958 (R2), 1.4100 (R3)
EUR/JPY
• EUR/JPYは大幅に上昇したが、135.48(R2)の天井を付けた後に下落したため、ピークを下回る水準となった。本原稿執筆現在、同ペアは、134.94(R1)を下回る水準にあり、青色の上昇トレンドラインに向けて推移している。RSIが買われ過ぎの領域を脱したばかりであり、現在、青色のサポートラインを試しているため、下落の波は、本日一杯続くとみられる。このサポートラインを下方突破すれば、私の疑いは裏付けられることとなり、弱気筋が133.83(S1)のサポート・バリアーを目指す可能性がある。しかし、同ペアの全体的なトレンドは、レートが両移動平均を上回って推移しており、青色のトレンドラインが未だ突破されていないことから、今のところ上昇傾向にある。
• サポート:133.83 (S1), 132.75 (S2), 132.16 (S3)
• レジスタンス:134.94 (R1), 135.48 (R2), 136.72 (R3)
GBP/USD
• GBP/USDも、1.6125(S1)のサポート水準で反発した後、期待外れの米国のデータを受けて上昇した。欧州の午前中、同ペアは、最近の高値である1.6260(R1)を試しつつあり、この水準を明らかに突破すれば、1.6380(R2)の天井を目指すとみられる。MACDが強気な領域にあるトリガーを上方にクロスしており、RSIが、上昇の道を辿っていることから、両モメンタム分析は明るい兆候を示している。日足チャートでは、7月9日以来の上昇トレンドが引き続き有効である。
• サポート:1.6125 (S1), 1.6000 (S2), 1.5890 (S3)
• レジスタンス:1.6260 (R1), 1.6380 (R2) and 1.6465 (R3)
金
• 金も、非農業部門雇用者数を受けて上昇し、3日連続で試していたハードルを突破した。金は、1322にある従来の下落トレンドの38.2%フィボナッチ・リトレースメント水準を突破し、現在、1343(R1)にある50%リトレースメント水準を試しつつある。RSIが買われ過ぎの領域を今にも脱しそうなため、ロング派が息を吹き返し、1364(R2)にある61.8%リトレースメント・バリアーを目指す前に、戻しがあると予想される。
• サポート:1322 (S1), 1305 (S2), 1287 (S3)
• レジスタンス:1343 (R1), 1364 (R2), 1391 (R3)
原油
• WTIは若干下落し、97.36(S1)のフロアーに達した。本原稿執筆現在、価格は、このハードルを試しつつあり、弱気筋が充分に強く、これを突破することができれば、WTIは、直近では7月1日に見られた領域に突入するだろう。価格は依然として青色の下落トレンドチャネル内にあり、50期間移動平均は200期間移動平均を下回っており、下落トレンドの継続の可能性が高まっている。チャネル内の上方へのリトレースメントは、懸念材料とはならないだろう。RSIは、売られ過ぎの領域にあり、調整局面がまもなく訪れる可能性が高まっている。
• サポート:97.36 (S1), 96.04 (S2), 93.61 (S3)
• レジスタンス99.26 (R1), 101.02 (R2), 102.57 (R3)
通貨レートベンチマーク - 今日の勝者と敗者
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