目下のところ、ギリシャリスクと米欧金融政策のコントラスト(=方向性の違い)がEUR/USDのレジスト要因となっているが、前者で解決に向けた進展が見られたことに加え、タイミングよくHICPが良好な結果となったことで昨日は重要テクニカルポイント(一目/転換&基準線、10日&21日MA)をことごとく突破する展開に(尚、独10年債利回りは0.5%台から0.7%台へ急上昇しユーロ高のけん引役に)。大陽線の示現により、1.05-1.10のレンジ相場へ逆戻りする可能性はひとまず後退した。
だが、後者に関しては、今後コントラストが鮮明となっていくだろう。今後のユーロ圏指標データが景気改善を示す内容となれば、リトレースメント61.80%もしくは76.40%を突破する可能性はある。しかし、現在マーケットの主要テーマは米金融政策の動向である。よって、1-3月期の米景気低迷が特殊要因(=悪天候/ストライキ)に起因した一時的な現象であったと、5月以降の米指標データが示せば上記のコントラストが意識され、好調な指標データを背景としたユーロ買いの圧力が高まっても、米年内利上げ期待を背景としたドル買い圧力がそれに勝ることでEUR/USDは中長期的に下値を模索するトレンドが形成されよう。
逆に冴えない米指標データによりファンダメンタルズの改善期待が後退した場合、短期的なドル売りによりEUR/USDはもう一段高が期待できる。しかし、米ファンダメンタルズ改善の遅れは、欧州の景気回復の阻害要因ともなることから、中長期的なユーロ高/ドル安トレンドを形勢することはないだろう。引き続き米指標データに神経を尖らせながら、目先は1.08-1.15のレンジ相場を想定したい。
【テクニカル分析コメント】-EUR/USD、 焦点はリトレースメント61.80%の攻防
レジスタンス
1.1314:リトレースメント76.40%
1.1300:オファー
1.1220:リトレースメント61.80%
1.1209:5/22高値
1.1200:オファー&オプションバリア
1.1194:6/2高値
サポート
1.1143:21日MA (緑ライン)&一目/基準線(赤ライン)
1.1100:ビッド、リトレースメント23.60%
1.1050:リトレースメント38.20%
1.1000:ビッド、10日MA(黄ライン)、リトレースメント50.00%
目先の焦点は1.12の攻防。昨日はこのレベル手前でユーロ買いが失速。また、東京時間が進むにつれ21日MA(一目/基準線がクロス)をブレイクしつつある状況も鑑みるに、昨日のユーロ買いが一過性で終わる可能性を考慮すべきだろう。RSIやADXが低下気味で推移している点も気になる。前述のテクニカルポイントを完全に下方ブレイクした場合は、1時間足の各リトレースメントでの攻防に注目したい。10日MAやビッドの存在も考えるならば、1.10レベルを維持できるかが注目される。下方ブレイクした場合は、レンジの下限と想定される1.08の維持が再び焦点として浮上しよう。
一方、1.12台へ再上昇した場合は、日足のリトレースメント61.80%での攻防が注目される。
1時間足チャート
日足チャート