4月中旬以降、米ドルの総合的なトレンドを示すドルインデックスは下落基調を辿り、昨日は重要サポートポイント94.00をトライする局面が見られた。背景にあるのは、EUR/USDの上昇だろう。実際、4月14日以降のEUR/USDのチャートは、ドルインデックスのそれと綺麗な逆相関図を描いて推移している。
ユーロ高継続の軸となっているのは、①早期利上げ観測後退によるドル安、②欧州中央銀行(ECB)の緩和強化に伴う景気回復期待(=直近の指標データはユーロ圏経済の回復を示唆)、③景気回復期待に伴う欧州株高、④株高に伴う独金利の上昇(=米独金利差縮小観測)の4本柱。
5本目の柱として注目すべきが、本日実施される英国総選挙だろう。同国の政治リスク(=EU/スコットランド独立問題再燃)を背景に英ポンド売りまでが強まれば、EUR/GBPでの上昇がユーロ相場全体の更なる押し上げ要因となろう。
ただ、RSIが70の水準を超える等、直近のユーロ反発スピードに過熱感が出始めている。よって、今後はユーロ反落リスクを意識すべきフェーズにあると言える。上記4本柱プラス1(=英政治リスク)を軸としたユーロ高トレンドを反転させる材料として目先注目すべきは、明日の米雇用統計(4月分)と5月11日のEU財務相会合だろう。前者が市場予想を上回る内容となれば、①と④の後退要因ともなろう。
一方、後者の会合でギリシャへの支援協議が難航した場合は、欧州株式市場を一時的にせよ混乱させる可能性があろう。欧州株の下落は、独金利反発の土台が崩れることを意味する。そして独金利の反発は現在のユーロ高の支柱となっており、その支柱が折れれば一転ユーロ売りが強まろう。だが、現在のギリシャ市場の混乱と欧州市場の堅調さ、原油相場の反発基調(=対ドルでの資源国通貨買い圧力の強まり)を鑑みるに、後者の要因(=ギリシャリスク)のみがクローズアップされてのユーロ売りは長続きしないだろう。
EUR/USDが反転したと判断する時とは、ドル高再燃、つまり明日の米雇用統計をはじめとした指標データを背景に再び米早期利上げ観測が強まる時だろう。
【テクニカル分析コメント】- EUR/USD、EUR/GBPが押し上げ要因となれば1.1450トライも
レジスタンス
1.1450:レジスタンスポイント
1.1400:オファー
1.1395:ボリンジャー上限 (緑ライン)
1.1380:オファー
1.1370:5/6高値
サポート
1.1300:リトレースメント23.60%
1.1254:リトレースメント38.20%
1.1243:5日MA (黄ライン)
1.1218:リトレースメント50.00%、ビッド
1.1200:ビッド
RSIが70.00の水準へ到達している点を鑑みるに、目先は反落リスクを想定したい。1.1380レベルに観測されているオファーを鑑みるに、昨日高値レベル付近ではユーロショートで攻め合いところ。
だが、上述した通り、ユーロ高5本目の柱としてのEUR/GBPがユーロ相場全体を押し上げる展開となる可能性がある。よって、1.1400レベルでのストップと順張りの備えだけは整えておきたい。1.14台の攻防へシフトした場合は、1.1450レベルトライが焦点となろう。
一方、1.14トライに失敗(=ボリンジャー上限の突破に失敗)したならば、目先は5日MAまでの反落を想定した調整相場を意識したい。
日足チャート
1時間足チャート