スナップの下落スパイラルはしばらく終わりそうにない。スナップはCSO(最高戦略責任者)であるImran Khan氏が同社を退社したことによって、10日のスナップ株は最安値付近で取引されていた。
10日にスナップ株(NYSE:SNAP)は2%以上下落し、52週間の最高値から半値になっている。スナップは若者やセレブの間ではやっているアプリの一つではあるが、この下落は投資家がスナップのマネタイズに疑問を持った結果だろう。
Khan氏の退社は、CEO兼創業者であるEvan Spiegel氏にとって大きな痛手である。これにより約一年強で経理、法務、エンジニア、営業の分野すべての責任者が退社または入れ替わったことになる。
スナップにとってソーシャルメディア業界を生き残る分岐点のタイミングで、Khan氏は退社してしまった。また第2四半期、スナップチャットのリデザインに失敗し、市場予想の広告売上を上回ることはできなかった。スナップは日次アクティブユーザーが第2四半期ではじめて減少したと発表した。
この暗い見通しの中で、株価がすぐに上昇をみせることは難しい。しかし、ソーシャルメディア市場で、スナップは1万8800ユーザーを有しており、絶望的な訳ではない。スナップチャットの投稿が一定時間で消える機能である「ストーリー」はアメリカやヨーロッパの10代の中で非常に人気であり、フェイスブック (NASDAQ:FB) はインスタグラムで同じような機能を実装している。
このような事実は聞こえがいいが、下落し最安値を記録した後で、上昇トレンドになる道筋はまだ整っていない。すぐに強い総売上高を生み出し、ライバルに打ち勝つようなソーシャルプラットフォームになる兆候がまだないからだ。
スナップは、前年同期より第2四半期のユーザー獲得数は1000万少なかった。
一方、第2四半期フェイスブックのインスタグラムはアクティブユーザー10億人を初めて達成した。
フェイスブックはスナップの機能のほとんどをコピーしているが、ソーシャルメディアの投資家にとってフェイスブックの方が良い投資のように思える。
スナップは各アクティブユーザーから1.40ドルの売上を生み出している。一方、フェイスブックは9ドルである。
厳しいソーシャルメディア市場
スナップの事業基盤は、ソーシャルメディア市場の激化によって悪化している。
フェイスブックやグーグルの親会社Alphhabetを含む、ソーシャルメディア企業はケンブリッジ・アナリティカ事件や米大統領選へのロシアの介入によって、プラットフォームのセキュリティ強化や規制適合に何十億ドルを投資している。
スナップにとって、他のソーシャルメディアと比べて広告売上を上げることや、大きな投資をすることは容易なことではない。
最大の問題は、スナップチャットにはすでにアプリとして優位性がないことだ。他の企業のアプリの方が良い広告を出せる中で、スナップで広告を出す意味はない。
とはいえ、スナップ株が大きく上昇する起爆剤がないことはない。それはスナップチャットがインスタグラムに対抗できるぐらいの資金力を持っている大企業に買収されることだ。そうなるには、スナップが成長しそれだけの価値があることを見せなければいけないが、いまのところスナップにその価値はないといえる。