23日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸しただけでなく、終値ベースで初めて節目の1万8000ドルを超えて過去最高値を更新。S&P500種株価指数も前日比0.3%上昇の2084.18と、こちらも最高値を更新した。米株復活を背景に金利も緩やかな上昇トレンドを辿っている。特に米金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは昨日、0.74%付近まで上昇した。米金利の上昇は外為市場でのドル高圧力を強め、ドルインデックスは節目の90.00を上方ブレイク。ドル円は120円台を回復し、ユーロドルは年初来安値1.2164レベルまで下落した(ドル高が進行した)。
筆者の想定よりも早くリスク選好トレンドへ回帰するムードが強まっている。きっかけは、先週半ば以降、ロシアリスクが一時的に後退していること、且つそのタイミングでバランスの取れた米連邦公開市場委員会(FOMC)声明が公表されたことだった。実際、投資家の不安心理を表すVIX指数は16日以降低下基調を辿っている。
だが、今後も原油価格の不安定化が懸念されること、そしてクリスマス休暇の週であることを考えるならば、今日以降再び株式&外為市場で調整色が強まる可能性を意識しておくべきだろう。
昨日公表された7-9月期実質国内総生産(GDP、確定値)は前期比年率5%増と、2003年第3四半期以来の堅調な伸びを見せた。企業の生産活動の拡大(好調なISM指数)、労働市場の回復(強い雇用統計)そしてマクロ面での経済成長(上方修正されたGDP改定値)が相次いで確認されたことに加え、欧州中央銀行(ECB)による1月緩和強化観測が日に日に強まっている点も考慮するならば、来週以降、本格的にリスク選好へ回帰すると想定する。その過程で米金利も緩やかに上昇することで、ドル円は重要レジスタンスポイント121.86トライとなろう。ユーロドルは1.20台の攻防へシフトする展開を想定している。
また、新興国通貨ではフラジャイル5、特にインドルピー、インドネシアルピアそしてトルコリラといった通貨は対ドルで下落幅が拡大する可能性が高いだろう。ブラジルレアルは中央銀行の介入度合が強く、レアル安が進行すれば介入の可能性が強く意識されよう。
一方、ロシアルーブルは制裁と不安定な原油相場が政府・中銀の介入策を凌駕し、対ドルで再び下値を模索し始めると想定している。
<Today’s Chart>-ドル円日足チャート
レジスタンス
・121.86:年初来高値
・121.52:ボリンジャー上限(緑ライン、σ:2.0、MA:21)
・121.00:レジスタンス
サポート
・120.00:サポートポイント
・ 119.11:21日MA(青ライン)
・118.50:短期サポートライン