8月10日、トルコで大統領選が実施され、エルドアン首相が大統領に選出されました。得票率が51.8%と過半数を超えたため、決選投票なしに当選が決まりました。
エルドアン首相は既に11年間首相の座にあり、今回の大統領選で任期5年を加え、さらに再選して2期目まで大統領職を継続することができれば、20年以上の超長期にわたりトルコ政治のトップに君臨することになります。
今回のエルドアン大統領誕生は、トルコ経済の行く末にとっても大きな影響のあるイベントと言えます。その理由を理解するためにも、これまでのトルコの政治・経済の状況を簡潔におさらいしてみます
エルドアン政権の「光」~躍進するトルコ経済
トルコは過去10年間にわたって経済成長を続け、フィッチやムーディーズがトルコを投資適格に格上げするまでになってきました。
トルコの躍進の立役者は、取りも直さずこの期間首相を務めてきたエルドアン首相です。首相就任以降、エルドアン首相が民営化と大型公共事業を推進したことによって、経済発展が進んだことは疑いようのない事実です。
なおエルドアン首相は、外交面でも中東各国と関係を強化しながら「強いトルコ」復活を目指す政策をとっているため、その政策は「新オスマン主義」とも呼ばれ、エルドアン首相個人も「スルタン」(オスマン帝国の皇帝)と呼ばれています。
エルドアン政権の「影」~汚職・弾圧
一方で、経済発展の裏側ではエルドアン首相の与党である公正発展党(AKP)系の企業が優遇される弊害も生じてきたとされており、こうした状況が昨年来の閣僚も含めた政治汚職事件につながり、通貨安を招きました。
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