25日の海外外為市場は、ドルロング調整相場となった。直近の円安スピードに対する警戒感(21日に麻生財務相がけん制)からドル円は118.50レベルをレジスタンスに117.70レベルまで下落。ただ、リトレースメント23.60%戻し(117.47レベル)や10日MAを維持する等、調整の範囲内にとどまっている点を考えるなら、基調としてのドル高/円安トレンドに変化は見られない。一方、対ユーロでもドルロングを調整する動きが継続した。先週はドラギ発言によりユーロ売り優勢の展開となるも、欧州中央銀行(ECB)内では緩和強化に関してのコンセンサスが必ずしも統一されていないとの観測もあり、ひとまずユーロショート(ドルロング)を調整する動きが強まった。ただ、10日MAで上値が抑えられ1.2500トライに失敗した事実を鑑みるに、こちらも基調としてのユーロ安/ドル高トレンドに特段の変化は見られない。
しかし今週は、ドルロング調整ウィークとなる可能性が高いだろう。昨日発表された7-9月期の米実質国内総生産(GDP)の改定値は予想外の上方修正(+3.5%→+3.9%)となったものの、11月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は前回及び市場予想を下回る結果に。また、金利面での妙味から米5年債入札結果が予想以上に好調だったことも合わさり、米金利には根強い低下圧力がかかり続けている。連日過去最高値を更新し続けてきた米株式も感謝祭を前に利益確定売り優勢の展開となりやすい状況も鑑みるに、今週は積み上がったドルロングを調整するには良いタイミングと多くの市場参加者は考える可能性が高いだろう。
< Today’s Outlook -焦点は米英経済指標>
ドルロングが調整地合いとなる中でも、ドル円は上述の通り底堅い展開となっている。直接的には堅調なグローバル株式市場が根強い円安トレンドの要因となっているだろうが、直近の状況はこの点(株高トレンド)に加え、最近の急激な円安スピードに多くの投資家が追随出来ずにドルロング/円ショート構築に乗り遅れていることを示唆している。そうであるならば、高値警戒感がくすぶり続ける中でも、土台の株高が崩れない限り、節目やテクニカルポイントでは押し目買いが入ることでドル円が大きく崩れる可能性は低いだろう。
また、米国のファンダメンタルズが改善基調を維持すれば、調整ウィーク終了後の米金利の緩やかな上昇とドルロング再構築をサポートしよう。その試金石として、本日も米経済指標の内容に注視したい。特に米連邦準備理事会(FRB)が注視する個人消費支出(10月、PCEコア・デフレーター)や住宅市場の先行指標である新築住宅販売件数(10月)の伸びが確認されれば、本日はドルを買い戻す動きが強まる可能性もあろう。逆に総じて冴えない内容が続けば、ドルロングを調整する動きが加速しよう。この場合、ドル円は下図チャートの短期サポートラインを維持できるかが焦点となろう。ユーロドルは1.2500を挟むかたちで展開している10日&21日MAを上方ブレイクし、目先のレジスタンスポイント1.2575レベルをトライするかが注目される。
また、日本時間18時30分に発表される英国の国内総生産(7-9月期GDP、改定値)の内容にも注目したい。
< Today’s Chart >
上値ポイント:先週の麻生発言以降、レジスタンスとして意識されている118.50レベルの突破が焦点。
下値ポイント:短期サポートラインの維持が焦点。今日現在、117.00レベル。
ドル円1時間足