昨日の米国マーケットは「株安・金利横ばい・ドル買い優勢」の展開となった。米株が続落し、指標データが強弱まちまちの中でも米金利の低下幅は限定的、且つドル高優勢となった事実は、一時後退していた6月利上げ観測が外為市場で再び意識されていることを暗示している。また、ドルインデックスの陽線とユーロドルの陰線の同時示現を鑑みるに、持続的なユーロ売りもドル相場をサポートしていることは明白。
ただ、このドル高が持続的なトレンドを形成するかどうかは、米株の動向も見極める必要があろう。6月利上げ観測を受け米金利が上昇しても、米株がそれを懸念材料として意識するならば次第に安全資産への逃避需要が増すことで米金利には低下圧力が強まろう。結果、外為市場ではドルロングの調整色が強まろう。
しかし、既に指摘した通り、昨年からの米株調整入りパターンを鑑みるに、3月の米株は上値トライとなる可能性がある。リスクイベントである連邦公開市場委員会(FOMC)もイエレンFRB議長の地ならし発言もあり、米株の圧迫要因となる可能性が低くなっている現状を考えるならば、明日の雇用統計が総合的に労働市場の持続的改善を示した場合、米株は素直に好感する可能性が高い。
①6月利上げ観測、②持続的なユーロ売り、③米株高が合わされば、外為市場では持続的なドル高トレンドが鮮明となっていくことが想定される。
本日は欧州中央銀行(ECB)理事会とドラギ総裁の会見が予定されている。今月より開始される量的緩和の内容(資産購入の具体的な開始日程、買入れ対象となる国債のデュレーション等)にマーケットの注目が集まろう。直近のユーロ下落を考えるならば、イベント終了後に散見されるショートカバーの展開が想定される。ただ、一時後退していた米6月利上げ観測が直近のインフレ指標により再台頭していること、そして明日に米雇用統計(2月)の発表を控えていることも考えるならば、EUR/USDの上値は限定的だろう。
【テクニカル分析コメント】- EUR/USD、ショートカバーとなっても上値は限定的
レジスタンス
1.1320-25:オファー
1.1303:21日MA(青ライン)
1.1300:オファー
1.1298:一目/基準線(赤ライン)
1.1280:上の水準にストップ
1.1250:レジスタンスポイント
1.1185:3月4日高値
1.1100:オプションバリア
サポート
1.1061:3月4日安値
1.1050:ビッド
1.1038:ボリンジャー下限(σ-2.5)
1.1000:ビッド、オプションバリア
ECBイベント後、ショートカバーの展開となった場合、目先は1.1250レベルを突破できるかが注目される。ただ、このレジスタンスポイントを突破しても1.1300を挟んで展開している一目/基準線(赤ライン)やボリンジャー中心線(21日MA、青ライン)までが上値余地の限界と想定したい。
一方、下値は1.10台の攻防へ完全にシフトするかが注目される。
尚、直近のオーダー状況は上記の通り。1.1280上にはストップの観測あり。