24日の朝に政府から貿易収支が発表され、6月は8,222億円の赤字だった。また今年1~6月期の貿易赤字額は7兆5,984億円となり、これは半期の貿易赤字としては過去最大額となった。
一部の報道で「昨年同月比3.5倍程度に拡大」と言われているが、この数字から逆算すると昨年6月は2,400億円程度の赤字となる。しかしこの月は昨年12ヶ月の中で最小だった月であり、他の月はほとんど5,000億~1兆円程度だった。6月だけが特別小さい額だっただけであり、「拡大」という言い方にはあまり意味がない。
話を半期の数字に戻すと、今年前半期の貿易赤字は約7兆6000億円で過去最大だったことはすでに述べた。そして貿易赤字額は、半期ごとに拡大している。安倍政権の誕生以来アベノミクス政策で円安に誘導してきたが、それが貿易赤字縮小には全く機能していないことになる。2012年後半の貿易赤字額は4兆円ほどだったが、その後円安になっても結局貿易赤字額は減るどころか2倍近くに増えている。
貿易赤字が減らない理由はいくつかある。1つには、震災以降原発を止めてしまったために、火力発電用の燃料の輸入が増大。それによって、円安はむしろ輸入コストの増大につながったからだ。もう1つは、日本企業の海外生産が拡大しており、円安が輸出増につながっていない点だ。現地生産をした製品の売り上げは、日本からの「輸出」としてカウントされない。 円安になっても貿易赤字は解消せず、一方でガソリンなどのコストだけは上昇している。アベノミクスは、最初に期待されていたほどの成果を出していないのが明確になってきた。