米労働省が発表した10月の雇用統計は「程よい」内容となった。非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は、市場予想(23.5万人)以下の前月比21万4000人増にとどまったが、前月は同25万6000人増(速報24万8000人増)に上方修正された。一方、失業率は2008年7月以来、6年3カ月ぶりの低水準となる5.8%まで低下しが、平均時給の伸びは前月比で0.1%増と市場予想の0.2%にはとどかなかった。早期利上げ期待を台頭させるほど強くない「程よい」内容の雇用統計は、米金利低下とドル高調整地合いを促し、ドル円はNYタイムに114.25レベルまで反落。ユーロドルは1.2470レベルまで反発した。他のドルストレートもドル売り優勢地合いとなった。
今週の外為市場だが、週前半は米重要経済指標の発表が予定されていないこともあり、ドル高調整地合いが続く可能性が高いだろう。再びドル高圧力が強まるとしたら、木曜日以降の米経済指標が総じて市場予想を上回った場合だろう。特に注目されるのは14日(金)の10月小売売上だろう。現時点では反発予想となっているが、コア指数が市場予想の0.2%増を上回れば、米金利の上昇とドル高圧力を強める要因となろう。ただ、週末にはオーストラリアのブリスベンで20カ国・地域(G20)首脳会議が開催される。直近の為替動向(ドル高/円安)に対して各国要人からけん制球が飛んでくる可能性もあり、週後半の米経済指標が総じて好調だったとしても、直近のような急速なドル高・円安回帰は望めないだろう。
しかし、非農業部門雇用者数が9か月連続で20.0万人を上回る等、米労働市場の改善傾向が確認されたことを考えるならば、グローバル株式が総崩れとならない限り、円高へ振れても下値は限定的だろう。ドル円は113円台を維持が焦点となろう。ドル円113円維持とドルストレートでのドル高調整が合わされば、クロス円も底堅く推移しよう。
尚、今週はボストン地区連銀ローゼングレン総裁、ミネアポリス地区連銀コチャラコタ総裁、フィラデルフィア地区連銀プロッサー総裁、そしてセントルイス地区連銀ブラード総裁と、米FED要人の講演が目白押しとなっている。
< Today’s Outlook -株式と中国経済指標にらみ>
ドル高回帰のきっかけが週後半の米経済指標ということを考えるならば、ドル円をはじめとした円相場のトレンドは株式動向次第だろう。
経済指標では、日本時間10時30分に発表される10月の中国生産者物価指数(PPI)及び消費者物価指数(CPI)に注目したい。8日に発表された同月貿易収支では、輸入が前年同月4.6%増と市場予想の5.0%増にとどかなかった。本日の経済指標でも内需の弱さを示唆する内容となれば、株式市場と豪ドル相場の下落を誘発する可能性があろう。
【Technical analysis highlights】
ドル円
レジスタンス
115.61:11月7日高値
115.00:レジスタンスポイント
サポート
114.00:サポートポイント
113.00:サポートポイント
週前半は113円台の維持に注目する展開を想定したい。テクニカル面では11月高安の76.40%戻し113.29レベル、そして10月安値-11月高値の26.30%戻し113.15レベルの攻防に注目したい。
一方、上値は直近高値115.60レベルの突破が焦点となろう。
ユーロドル
レジスタンス
1.2623:50.00%戻し
1.2577:11月4日高値
サポート
1.2358:11月7日安値
1.2300:サポートポイント
ドル高調整地合いが続いた場合、1.26台への再上昇が焦点となろう。1.2623レベルには1.2358からの50.00%戻し1.2623レベルが位置している。
一方、下値は1.23台の維持が焦点となろう。