リラックスライフの祖に学ぶ
「朝三暮四」「上善水のごとし」「いまだ木鶏たりえず」などという言葉をご存知の方は多いと思います。これらは中国古代の哲学者、老子と荘子の言葉です。老荘思想というと、中国の思想家の難しい教え……。そのようなイメージがあるように思います。たしかにとても深淵な教えなので、その真意を学術的に理解するのは大変かもしれません。しかし、専門家でないなら、難しく考える必要はありません。
彼らの基本的な教えとは、集団や社会、そして自我からも解放されて、ありのままを受け入れることを説いた究極のリラックスライフの送り方なのです。この本は中国哲学の専門家でもない私が、自分なりに老荘思想を解釈し、それによって人生において、投資において支えられてきた経験に基づくものです。
では、なぜ老荘思想が今日、大切なのか。それは、老荘の生きた時代もまた、現代と同じく激動の時代であり、ストレス社会だったからです。そして彼らはその中で、何事にもとらわれない自由の大切さを説いていたのです。現在われわれは、日々のストレスに加え、先の見えない将来に対する大きな不安にさらされています。その中でもおカネの問題は多くの方の頭痛の種です。したがって、人々が不安な時代を迎えているときにこそ広く愛され救いとなってきた老荘思想は、多くの癒しと気づきを我々に与えてくれるでしょう。そして、彼等の思想は投資を考える上でも驚くほど有益なのです。
本書は、老荘思想を投資に応用することで、マーケットに戦いを挑んで疲れた多くの投資家に投資の本質についての気付きを与え、また「将来の自分は、いまの自分が支えるんだ」と前向きな決意をした投資入門者には、投資における心構えとシンプルな投資法をお伝えすることを目的としています。
老荘思想も投資も、難しいというイメージがありますが、なるべく平易な表現で気軽にお読みいただけるようにしました。ぜひ本書をとおして、老荘思想そして投資に対する理解を深めていただければと思います。
著者/岡本和久(おかもと・かずひさ)
米国コロンビア大学留学後、1971年慶應義塾大学経済学部卒。大手証券会社にてアナリスト・ストラテジスト業務を担当したのち1992年退社。その後、現バークレイズ・グローバル・インベスターズ株式会社を設立、代表取締役社長として年金運用に従事。2005年5月に I-Oウェルス・アドバイザーズ(株)を設立。現在、セミナーや資産運用教室などを開催する傍ら、クラブ・インベストライフを主催。おカネ、投資、運用に伴うストレスを癒す『ファイナンシャル・ヒーラー』をみずから任じている。日本証券投資顧問業協会理事、同協会副会長兼自主規制委員会委員長、投資信託協会理事、日本CFA(CharteredFinancial Analyst)協会会長(2006年より名誉会長、現在に至る)などを歴任。
著者 岡本和久
定価 1,575円(本体1,500円+税5%)
A5判 ハードカバー 240頁
2009年8月8日発売