債券市場の指標からこの国の「方位」が分かる!
金利の構造を理解する
日本国債は“安全”なのか?
マーケットの生き字引が語るJGBのすべて
債券とは、不特定多数の投資家からまとまった資金を調達するために発行される、いわば「借用証書」である。日本政府が発行する債券を日本国債(JGB= Japanese Government Bond)という。
債券は株式や通貨、商品と並ぶ取引市場のひとつだ。ところが、個人トレーダーの運用対象として考えると、株式には現物株や日経225などの株価指数先物、通貨にはFX(外国為替証拠金取引)、商品には原油や金などの先物があるのに、債券には“ない”。
いや、けっしてないのではない。東京証券取引所には日本初の金融先物として 1985年に上場された長期国債先物――通称「JGB先物」――があるのだ。
JGB先物は金融市場のプロからは指標として重視され、内外の機関投資家にはヘッジ・運用市場として活発に利用されている。しかし、日経225やFXに比べて、マイナーな印象があるのも否めない。
その理由のひとつは、売買単位の大きさだろう。JGB先物は単価100円・利率 6%・期間10年の“仮想”国債を1億円単位で取引する。価格が1銭動くと、1 単位当たり1万円の損益が発生する計算だ。1日で1円以上動くこともあるので、多くの個人トレーダーにとっては、かなりハイリスク・ハイリターンな投資対象となるわけだ。
また、JGB先物を個人向けに取り扱う証券会社がほとんどないのも、地味な印象をもたらす理由のひとつであろう。
しかし、著しく増加する債務残高と一向に改善されない財政赤字を反映して「日本国債の価値下落」が、より強く懸念されている。最近ではミニ先物や差金決済取引(CFD)など、個人トレーダーに手が届きやすい金融商品も登場してきた。 “目の前にある機会”に参加する環境が整いつつあるのだ。
本書の執筆者は、草創期から14年以上にわたってJGB先物ディーラーとして活躍し、今も最前線で情報を配信する債券アナリスト。いわばJGB先物の「生き字引」である。
トレーダーの視点から債券・国債・JGB先物の仕組みと市場構造について分かりやすく解説してもらうだけなく、経験者だからこそ語れるトレードで生き残るためのコツとJGB先物の激動の歴史を惜しみなく紹介してもらった。
この市場でのトレードに必要とされる知識やノウハウが網羅された本書から、 JGB先物の魅力と可能性を知ってもらいたい。
著者紹介
久保田博幸(くぼた・ひろゆき)
慶應義塾大学法学部卒業後、国内の証券会社に入社。1986年から14年以上にわたり債券現物・先物のディーリングを担当する。債券市場のホームページの草分け「債券ディーリングルーム」を開設する。また、幸田真音著『日本国債』(講談社)の登場人物のモデルとなる。現在、株式会社フィスコのチーフアナリストとして、国債を主体とした債券相場の動向や日銀の金融政策などの分析を行っている。日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『日本国債は危なくない』(文藝春秋)、『図解入門ビジネス 最新債券の基本とカラクリがよ~くわかる本』『ポケット図解 日本銀行の基本と仕組みがわかる本』(秀和システム)、『ネットで調べる経済指標』(毎日コミュニケーションズ)など多数。
著者Web 債券ディーリングルーム
久保田博幸
パンローリング A5判 288頁 2010年3月発売
2,940円 (税込)