■株式相場見通し
予想レンジ:上限19900-下限19400円
来週は米利上げ決定後の動向が注目される。
週末の米国市場では、注目された2月雇用統計で非農業部門雇用者数が23.5万人増と予想(20.0万人増)を大きく上振れたほか、失業率も改善も好感された。
FRBがこのところ示していた楽観的な景気認識を裏付けるものとなった。
これにより、FOMCでは追加利上げとなろう。
織り込み済みではあるが、これまで日本株については見極めムードからこう着が続いていたこともあり、ドル高進行や米国債利回りの上昇を背景にトレンドが強まる可能性はある。
また、オランダでは15日に、注目されている欧州の一連の選挙の先陣を切って議会選挙が行われる。
反EU・反移民を掲げる極右政党「自由党(PVV)」のウィルダース党首は「オランダのトランプ」と呼ばれている。
警戒感が強まる可能性があるものの、足元で欧州市場は落ち着いた動きをみせているほか、欧州比率の高い精密セクターなどには買い戻しとみられる動きも散見されている。
最新の世論調査では、今のところウィルダース氏がオランダのEU離脱を実現させるのは事実上不可能だとの見方が大勢のようである。
また、これまでのようなサプライズがないとも言えないが、市場はサプライズからの波乱展開に対する修正の早さも目立っている。
その他、米連邦債務上限の適用停止期間が終了する。
これについては米財務省は、当面の政府資金調達を続けるため特別措置をとる可能性がある。
政治的停滞による国債利回りの急上昇が警戒される可能性はあるが、米議会は現在、上下両院とも共和党が過半数を占めているため、過度な警戒にはつながらないように思える。
その他、トランプ政権が予算概要を議会に提出する。
これら警戒要因が通過することで、アク抜け的な動きが意識されてこよう。
日経平均は先週末の大幅上昇の反動もあって、週初はもち合いレンジ上限レベルでの攻防といったところか。
その後、高値圏での底堅さが意識されるようだと、アク抜け後のレンジ上放れが意識されてくるだろ。
日経平均は年初からのこう着で、相当煮詰まり感が台頭している。
期末要因から貸株の返却に伴う、買い戻しといった需給要因も意識されやすいだろう。
また、先週のメジャーSQを含め、昨年11月から5ヵ月連続でSQ値が切り上がっている。
これについては、アベノミクス相場が始まった12年11月から13年5月に7ヶ月連続して切り上がった以来、4年ぶりとなる。
改めて中期的な目標値として、日経平均の2万円が意識されてくる可能性が高そうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は日米の金融政策と米利上げペースを見極める展開となる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は14-15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利上げを決定する見通し。
このため、週前半はドル買いがやや優勢となる可能性がある。
ただ、FRBのイエレン議長やフィッシャー副議長、ブレイナード理事などの金融当局者は3月利上げに前向きな見解を何度も示しており、追加利上げは完全に織り込まれている。
利上げ決定後にドル・円は小幅高となる可能性はあるものの、年内3回の利上げ見通しが維持された場合、利益確定を狙ったドル売りが増えることでドルの上値はやや重くなる展開が見込まれる。
一方、日本銀行は15-16日開催の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を賛成多数で決定する見込み。
日本銀行の雨宮理事は9日、国会答弁で「物価上昇目標の2%まで距離があるため、現在の方針で強力な金融緩和を推進すべきであり、長期金利目標の引き上げは適正でない」と述べている。
日銀は長期金利の目標水準を変更せず、金融緩和政策を堅持すると予想されていることから、ドル安・円高が急速に進行する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
3月13日(月):機械受注、第3次産業活動指数、ドラギECB総裁講演など
3月14日(火):中小売売上高、独ZEW期待調査、米FOMCなど
3月15日(水):日銀会合、訪日外国人客数、米小売売上高、FRB議長会見など
3月16日(木):日銀総裁会見、トランプ政権が予算概要提出など
3月17日(金):米鉱工業生産指数、米景気先行指数、G20財務相会議など