■今後の見通し
1. 2019年3月期の業績見通し
テクマトリックス (T:3762)の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%増の24,500百万円、営業利益が同15.6%増の2,200百万円、経常利益が同5.6%増の2,170百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.3%増の1,390百万円と増収増益となり、過去最高業績を連続更新する見通しだ。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業は売上高で前期比2.9%増の16,300百万円、営業利益で同横ばいの1,550百万円を見込んでいる。
情報セキュリティ対策への投資が引続き高水準で推移するなか、最先端の技術や製品を積極的に発掘し、自社サービス事業(保守・運用監視サービス等)と組合わせてソリューション展開する強みを生かして、今期も着実な売上成長を見込んでいる。
営業利益が横ばいとなるのは、今後の持続的成長を実現していくための自社サービスの開発や人材投資等に先行投資費用を投下することが要因となっている。
ただ、前第4四半期(2018年1月-3月)の受注高は前年同期比で20%増と好調に推移し、期末受注残高も7,567百万円と積上がっていることから、会社の売上計画は保守的な印象が強く、売上高、営業利益ともに若干の上振れは期待できると弊社では見ている。
特に、伸びが期待される製品としては、AI技術を活用して未知のマルウェアを高確率で検出するCylanceの次世代アンチウイルス製品のほか、マルウェア感染後の被害を最小限に食い止めることを目的としたTaniumのEDR製品、クラウドサービス利用時の監視等を行うCASB関連製品などが挙げられる。
次世代アンチウイルス製品に関しては2018年3月期に試験導入をした顧客からの本格導入が進むほか、EDR製品についても足元の受注は好調に推移している。
また、クラウドサービス利用時のセキュリティを監視するCASB関連製品についても、企業でクラウドサービスの利用拡大が進むなかで需要が増加していくものと予想される。
なお、子会社のクロス・ヘッドについては前期に事業構造改革を実施したことで一時的に落ち込んだものの、既に収益力は回復しており、2019年3月期はAWSの導入支援サービス等の取組みも強化していくことで収益拡大を見込んでいる。
(2)アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比6.9%増の8,200百万円、営業利益は同86.0%増の650百万円を見込んでいる。
医療分野、CRM分野、インターネットサービス分野でクラウドサービスを加速度的に推進していく方針で、新サービスの開発投資を積極的に進めていく。
医療分野については投資段階から収穫期に移行した「NOBORI」や「NOBORI PAL」のサービス拡充を進めていく。
クラウド型PACS市場は今後もオンプレミス型からの移行だけでなく、小規模医療施設での普及拡大が進むと見られており、今後も契約施設数は右肩上がりに増加していくことが予想されている。
200床数以下の小規模病院だけで見るとPACSの普及率はまだ40%程度の水準であり、潜在的なポテンシャルは大きいと言える。
同社ではこうした小規模医療施設を中心に、今後も導入施設数を年間200件ペースで増やしていくことを目指している。
また同分野では、同社が蓄積する1億件以上の医療画像等の検査情報と三井物産グループが保有するAI技術等を組合わせることで、医療機関だけでなく患者をターゲットとしたBtoCのクラウドサービスの開発も進めている。
検査情報については患者の同意がないと使えないため今後の課題となるが、早期の開発を目指している。
CRM分野では現在、「FastHelp」の5世代目の製品をリリースしているが、2019年頃を目途に前世代までのサポートが終了するため、大半がリプレイスされると見ている。
また、地方自治体向けやタイ、インドネシア等のASEAN地域での売上増も見込まれる。
ASEAN地域については現地日系企業向けが中心だが、インドネシアでは初めてローカルの金融機関向けに導入される見込みとなっている。
インターネットサービス分野では、受託開発型中心の事業構造を自社サービス型に切り替えていく方針となっており、新たなクラウドサービスの開発に注力していく。
ソフトウェア品質保証分野では引続き自動車業界を中心に組込みソフトウェアの品質向上や機能安全(セイフティ)に対する需要を取込んでいくほか、企業内情報システム分野におけるソフトウェア品質向上のニーズの取込みを推進していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
1. 2019年3月期の業績見通し
テクマトリックス (T:3762)の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%増の24,500百万円、営業利益が同15.6%増の2,200百万円、経常利益が同5.6%増の2,170百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.3%増の1,390百万円と増収増益となり、過去最高業績を連続更新する見通しだ。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業は売上高で前期比2.9%増の16,300百万円、営業利益で同横ばいの1,550百万円を見込んでいる。
情報セキュリティ対策への投資が引続き高水準で推移するなか、最先端の技術や製品を積極的に発掘し、自社サービス事業(保守・運用監視サービス等)と組合わせてソリューション展開する強みを生かして、今期も着実な売上成長を見込んでいる。
営業利益が横ばいとなるのは、今後の持続的成長を実現していくための自社サービスの開発や人材投資等に先行投資費用を投下することが要因となっている。
ただ、前第4四半期(2018年1月-3月)の受注高は前年同期比で20%増と好調に推移し、期末受注残高も7,567百万円と積上がっていることから、会社の売上計画は保守的な印象が強く、売上高、営業利益ともに若干の上振れは期待できると弊社では見ている。
特に、伸びが期待される製品としては、AI技術を活用して未知のマルウェアを高確率で検出するCylanceの次世代アンチウイルス製品のほか、マルウェア感染後の被害を最小限に食い止めることを目的としたTaniumのEDR製品、クラウドサービス利用時の監視等を行うCASB関連製品などが挙げられる。
次世代アンチウイルス製品に関しては2018年3月期に試験導入をした顧客からの本格導入が進むほか、EDR製品についても足元の受注は好調に推移している。
また、クラウドサービス利用時のセキュリティを監視するCASB関連製品についても、企業でクラウドサービスの利用拡大が進むなかで需要が増加していくものと予想される。
なお、子会社のクロス・ヘッドについては前期に事業構造改革を実施したことで一時的に落ち込んだものの、既に収益力は回復しており、2019年3月期はAWSの導入支援サービス等の取組みも強化していくことで収益拡大を見込んでいる。
(2)アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比6.9%増の8,200百万円、営業利益は同86.0%増の650百万円を見込んでいる。
医療分野、CRM分野、インターネットサービス分野でクラウドサービスを加速度的に推進していく方針で、新サービスの開発投資を積極的に進めていく。
医療分野については投資段階から収穫期に移行した「NOBORI」や「NOBORI PAL」のサービス拡充を進めていく。
クラウド型PACS市場は今後もオンプレミス型からの移行だけでなく、小規模医療施設での普及拡大が進むと見られており、今後も契約施設数は右肩上がりに増加していくことが予想されている。
200床数以下の小規模病院だけで見るとPACSの普及率はまだ40%程度の水準であり、潜在的なポテンシャルは大きいと言える。
同社ではこうした小規模医療施設を中心に、今後も導入施設数を年間200件ペースで増やしていくことを目指している。
また同分野では、同社が蓄積する1億件以上の医療画像等の検査情報と三井物産グループが保有するAI技術等を組合わせることで、医療機関だけでなく患者をターゲットとしたBtoCのクラウドサービスの開発も進めている。
検査情報については患者の同意がないと使えないため今後の課題となるが、早期の開発を目指している。
CRM分野では現在、「FastHelp」の5世代目の製品をリリースしているが、2019年頃を目途に前世代までのサポートが終了するため、大半がリプレイスされると見ている。
また、地方自治体向けやタイ、インドネシア等のASEAN地域での売上増も見込まれる。
ASEAN地域については現地日系企業向けが中心だが、インドネシアでは初めてローカルの金融機関向けに導入される見込みとなっている。
インターネットサービス分野では、受託開発型中心の事業構造を自社サービス型に切り替えていく方針となっており、新たなクラウドサービスの開発に注力していく。
ソフトウェア品質保証分野では引続き自動車業界を中心に組込みソフトウェアの品質向上や機能安全(セイフティ)に対する需要を取込んでいくほか、企業内情報システム分野におけるソフトウェア品質向上のニーズの取込みを推進していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)