[ブリュッセル 17日 ロイター] - 17─18日に開催される欧州連合(EU)首脳会議(サミット)では、中東情勢や域内予算など喫緊の課題が数多くある中、今月末に期限が迫る英国のEU離脱を巡る合意に向けた詰めの調整が焦点となる。
英国とEUが合意にこぎ着け、19日に特別に開かれる英国議会で承認された場合、今回がジョンソン英首相が出席する最初で最後のEUサミットとなる。
トゥスクEU大統領は16日、「合意の基本的な土台は準備が整った。理論上は明日、合意を承認することができる」と述べた。
当局者によると、ブリュッセルで行われた一連の協議で、双方の溝はほぼすべて埋まったという。
ただ、英議会ではアイルランド国境問題での譲歩を巡り懸念が出ており、ジョンソン氏は合意案の承認に必要な支持を得るのに苦戦している。
議会の承認が得られない場合、離脱期限を再び延期せざるを得なくなるのは、ほぼ確実だ。
<その他の議題>
EU首脳は、トルコによるクルド人勢力攻撃によって悪化しているシリア情勢についても議論する。EUは14日の外相理事会で、トルコへの武器輸出を制限することで合意したが、域内全体での禁輸措置に踏み切ることは避けた。
首脳会議では、アルバニアと北マケドニアのEU加盟交渉入りを巡る見解の相違も浮き彫りになる見通しだ。
フランスは反対姿勢で、英国の離脱問題や、中国の台頭、ロシアによる安全保障上の脅威など、EUはすでに数多くの課題に直面しており、1990年代の戦争の傷跡を抱え、犯罪や汚職がまん延するバルカン半島に位置する両国を受け入れるべきではないとの考えだ。
2021─27年の長期的なEU予算となる「多年次財政枠組み(MFF)」も、主要議題となる。最大の課題は、英国離脱による不足分をどうやって穴埋めするかだ。
加盟国間では、拠出比率について合意が成立していない。一部の加盟国が拠出金を減免されてきた「リベート」と呼ばれる慣行を廃止する案もあり、合意形成をより難しくしている。