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超大型ハイテク大手企業が決算発表
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FRBが好む経済指標であるコアPCEが金曜日に発表予定
これまでのところ、この決算シーズンは、堅調な内容となっており、これまでと同じ水準の成長を続けているのにもかかわらず、株式市場は下落する展開となっている。マイクロソフト、アルファベット、アップルなどの大型ハイテク企業の決算が始まり、経済指標とともに市場回復の好材料となるため、投資家は今週以降、市場が反発することを期待している。
しかし、コスト上昇と2006年以来最もタカ派的なFRBが悪材料となって、株式投資家はこの経済環境下でポジションを増やすことができないでいる。
先週末、株式市場は大きく下落して取引を終了
金曜日を終え、S&P500は3日続落となり、4.25%のマイナス・リターンとなった。また週次ベースでみても3週連続の下落であり、6%低下した。さらに、先週の下落は2020年10月以降で最も長い期間の下落となり、ハイテク株が下げを牽引した。
30構成銘柄のダウ工業株30種平均は、過去4週間で3.1%の値下がりとなった後、取引週の最後の2日間で3.8%の暴落となった。投資家がハイテク・グロース株からバリュー株にシフトしていることを考えると、ベンチマーク指数の中で大型株構成が多いダウは、パーセント・ベースではアウトパフォームしているものの、週次では最も長い続落を記録していることに変わりはない。
NASDAQ 100は直近3営業日で6%下落し、50週移動平均(50WMA)は10.2%のマイナスと、レジスタンスとなっていた100WMAを割り込んだ。
ラッセル2000は2日間で4.8%下落し、週次ベースでは3.4%の値下がりとなった。それでも、主要株価指数は足元複数週にわたって下落を続けているが、この小型株指数は先週から下落を開始した唯一の指標となった。
しかし、ラッセル2000のテクニカル・チャートは、最も弱いようにみえる。
小型株のベンチマークは金曜日に上昇チャネルを下回って引け、これは、最初にトップ・アウトして弱気相場入りした指数の戻り売りに過ぎないことを示唆している。50WMAがレジスタンスとなった後、200WMAを割り込み、戻り売り/上昇チャネルを強めている。
押し目買いの機会到来か
株式市場の弱気なセンチメントを受けて、大型ハイテク株の決算発表が始まる決算シーズンにおいて、押し目買いの機会が到来することを一部の投資家は期待している。Microsoft (NASDAQ:MSFT)、Alphabet (NASDAQ:GOOGL)は火曜日、市場終了後に決算を発表する予定だ。Facebookを運営するMeta Platforms (NASDAQ:FB)は水曜日の市場終了後に、Apple (NASDAQ:AAPL)とAmazon (NASDAQ:AMZN)は木曜日の市場終了後にそれぞれ決算発表を行う。
注目の決算に加え、FRBが特に注目しているお気に入りのインフレ指標である個人消費支出指数が金曜日に発表され、市場変動の新たなきっかけとなる可能性がある。FRBの引き締めの動きが強まるのか、それとも一部で言われているようにインフレがピークを迎えた可能性を示すのか、注目が集まる。
決算シーズンと投資家にとってこれまでで最も重要な不利な材料となったのは、先週のNetflix (NASDAQ:NFLX)の決算発表であり、市場に大きな衝撃を与えた。
ネットフリックスが10年ぶりの加入者数減を報告した後、株価は1日で3分の1以上を失い、水曜日には35%下落した。株価は、50WMAが100WMAに耐えて弱気クロスを形成していたにもかかわらず、主要週足MAのそれぞれを切り崩した後、2018年1月以来の安値に下落した。
インフレ率が高止まりする中、消費者が必需品以外を切り詰めているとの懸念から、ストリーミング大手のWarner Brothers Discovery (NASDAQ:WBD)も同日に6%安となり、その後3日連続の暴落によって先週は16%下落となった。
さらに悪いことに、このネガティブな感情はストリーミング・エンターテイメント・サービス以外にも広がり、太陽光エネルギー関連企業を含む投機的な企業全般に影響を及ぼし、水曜日の市場全体がそれまでの上昇を維持する中で下落した。
NASDAQ 100が11月の高値から19.4%下落した後、投資家は今週の大型ハイテク企業の決算が、主要株価指数と市場全体が切実に必要としている好材料を提供するかどうか動向を見守っています。果たして、どのような反発がみられるだろうか。
一部のトレーダーは、相場が底を打ち、200DMAをネックラインとするH&S(ヘッド・アンド・ショルダー)ボトムの右肩を形成することを期待している。これは、11月19日の高値から3月の安値まで21.4%下落した後、ハイテク株による構成が大きい指数が弱気相場にあることを読者に思い出させる絶好の機会となるだろう。
また、100DMAが200DMAを割り込んだ後、50DMAがすでに割り込み、デス・クロスを誘発している。現在、3本の主要MAはすべて弱気パターンである。従って、ハイテク株は上昇するよりも下降に向かうとみている。
前述の通り、これまでの堅調な業績も、インフレや金利上昇の深刻化に対する投資家の不安から、株価の上昇にはつながっていない。このセンチメントが変化しない限り、株式市場の急反発は期待できない。
その可能性があるのは、金曜日にFRBの有力指標であるコアPCE(変動しやすいエネルギー価格と食品価格を含まない)が発表されるときだけだろう。2月のPCEは5.4%上昇した。これが緩和されれば、現在弱含んでいるセンチメントが反転するかもしれない。
一方、米国10年債利回りは7週間中6週間上昇し、投資家がまだインフレと金利の上昇を織り込んでいることを示唆している。
50週MAが200週MAを越えようとしており、利回りのゴールデン・クロスを誘発するが、実は逆相関の関係にある原債券にとってはデス・クロスである。
米ドルは3週連続で上昇しており、最近の利回りの推移と一致している。
米ドルの50WMAは100WMAを超えたところで、200WMAを超えるとゴールデン・クロスを誘発する。
金はシンメトリカル・トライアングルの底まで下落した。
貴金属は、サポートをみつけ、トップサイドにブレイクし、前回の巨大なシンメトリカル・トライアングルによって設定された上昇トレンドを継続すると予想している。
3週連続の下落後、ビットコインは上昇チャネルの底で足場を固めている。
暗号通貨の前回のH&Sの影響を待っているところだ。
原油は、今週は約4.5%下落した。
WTIの動きは、シンメトリカル・トライアングルの力学を弱めたようにみえる。価格が頂点を蛇行したことを考えると、このパターンは無意味になることが予想される。さらなる動きを待ちたい。
今週の予定
時間はすべて米国東部時間で記載
月曜日
4:00: ドイツ – IFO 企業景況感指数: 90.8から89.1への低下を予想
火曜日
8:30: 米国 – コア耐久剤受注: -0.6%から0.6%への上昇を予想
10:00: 米国 – CB消費者信頼感指数: 107.2から108.0への上昇を予想
10:00: 米国 – 新築住宅販売件数: 770千件から765千件への低下を予想
21:30: 豪州 – CPI: 1.3%から1.7%への上昇を予想
水曜日
10:00: 米国 – 住宅販売保留指数: -4.1%から-1.5%への上昇を予想
10:30: 米国 – 原油在庫: -8.020百万から2.471百万への上昇を予想
21:30: 豪州 – 小売売上高: 1.8%から3月は1.0%への低下を予想
23:00: 日本 – 日銀 政策金利発表
木曜日
未定: 日本 – 日銀黒田総裁による定例記者会見
8:30: 米国 – GDP: 6.9%から前年同四半期1.1%への低下を予想
8:30: 米国 – 新規失業保険申請件数: 184千件から180千件への低下を予想
21:45: 中国 – Caixin 製造業購買担当社景気指数(PMI): 48.1から50.0への上昇を予想
金曜日
4:00: ドイツ – GDP: -0.3%から前年同四半期0.2%への上昇を予想
5:00: ユーロ圏 – CPI: 前年比7.4と横ばいを予想
6:30: ロシア – 政策金利発表: 17.00%から20.00%への上昇を予想
8:30: カナダ – GDP: 0.2%から前月比0.8%への上昇を予想
21:30: 中国 – 製造業 PMI: 49.5から49.9への上昇を予想
21:45: 中国 – Caixin 製造業購買担当社景気指数(PMI): 前回は48.1