[教皇特別機上 26日 ロイター] - ローマ教皇フランシスコは26日、原子力発電について、人類や地球環境にとって完全な安全性が保証されるまで利用を控えるべきだとの認識を示した。
アジア歴訪の終了後、ローマに戻る教皇特別機上で記者団に語った。
核兵器については、抑止目的の保有も含め、全面的に禁止すべきとの考えを改めて表明。核兵器の利用・保有の不道徳性を「カテキズム(信者に対する教理の手引き)」に盛り込む意向を示した。
教皇は25日、都内で福島第1原発事故の被災者と面会。日本カトリック司教団が原発の廃止を求めたことに言及していた。
教皇は「核エネルギーの利用は(安全性に)限界がある。完全な安全性が実現できていないためだ」とし「個人的な意見として、私は完全な安全性が実現するまで、核エネルギーを利用しない。災害が起きないという保証が十分ではない」と述べた。
教皇は原発事故はまれだという主張には十分な説得力がないと主張。チェルノブイリ原発事故などでは、放射線が数十年にわたって人々と環境に悪影響を及ぼしていると指摘した。
殺虫剤の過剰利用や家畜への成長ホルモン投与など、人類の自然破壊は限度を超えているとも発言。「環境保護(の必要性は)今行うのか、全く行わないのかという地点まで来ている」と述べた。
教皇は「武装化を巡る偽善行為」に関与している国も批判。名指しは避けたが、キリスト教の伝統がある国が「平和を語り、武器で生計を立てている」とし「これは偽善だ」と語った。
国連については、世界中で多くの貢献をしているとした上で、安全保障理事会の一部の国にのみ拒否権を与える制度を批判した。