[上海 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は15日、短中期の貸し出しを通じ、約580億ドルの資金を供給した。市場に資金をあふれさせることなく十分な流動性を保つことを目指す中、金利は据え置いた。
人民銀は1年物中期貸出制度(MLF)を通じて3000億元(435億1000万ドル)を供給した。金利は3.25%で前回から変わらずだった。
また、14日物リバースレポを通じて1000億元(145億ドル)を供給。金利は2.65%に据え置いた。
15日に満期を迎えるMLF融資やリバースレポはない。
人民銀は声明で、資金供給は「納税や現金需要などの要因の影響を相殺」し、24日に始まる春節(旧正月)の大型連休を前に、銀行システムにおいて「適度に潤沢」な流動性を確保する狙いがあると説明した。
春節の休暇に向けた企業や家計による現金需要の高まりや地方特別債の相次ぐ発行、四半期ごとの法人税納付が銀行システムの資金量低下につながっており、一部のアナリストは最大2兆8000億元の流動性不足が生じる可能性があると予想する。
ウエストパック(シンガポール)のアジア・マクロ戦略担当責任者、フランシス・チェン氏は「MLF金利はLPR(最優遇貸出金利、ローンプライムレート)の目安となり得るが、理論的にはMLF金利下げの有無にかかわらずLPRの調整は可能だ」と指摘。
「毎月のLPR見直しが5ベーシスポイント(bp)のわずかな引き下げの機会になると引き続き予想する。今後数日間にさらなる公開市場操作(オペ)による資金供給が行われると見込む。需要を満たすための流動性供給は見込まれていたため、市場の反応は限定的になるはずだ」とした。
人民銀は昨年8月、LPRの算出メカニズムを刷新し、銀行貸し出しの新たな指標金利とした。毎月、18の銀行の報告値に基づき算出している。企業の借り入れコストを押し下げ、米中貿易戦争の逆風を受ける景気を下支えするため、1年物LPR