[ドバイ 10日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ (SE:2222)のナサール最高経営責任者(CEO)は10日、同国が4月の原油供給を日量1230万バレルに引き上げると発表した。ロシアが提案した話し合いを実質的に拒否したことになる。
原油価格は前日、サウジとロシアが原油供給量を巡り対立したことを受け25%急落。原油安を受け、新型コロナウイルスで既に低迷していた株式相場は一段と落ち込んだ。
サウジの新たな供給量は主要油田の持続的最大生産能力(MSC)の1200万バレルを30万バレル上回る。アラムコが原油在庫も使うことを示唆する。
ムニューシン米財務長官は9日、駐米ロシア大使に対し、エネルギー市場が「秩序」を保たなければならないと述べた。サウジとロシアの供給増加によって、コストが高い米国のシェールオイル企業が倒産する懸念が高まっている。
サウジの過去数カ月間の生産量は日量970万バレル(bpd)。何億バレルもの在庫があるため、生産能力を超える量を供給することができる。
ロシアのノバク・エネルギー相は10日、石油輸出国機構(OPEC)と新たな対策を協議する準備ができていると発言し、和解の意向を示した。一方、サウジのアブドルアジズ・エネルギー相はこれに対し「5、6月に会うのが賢明とは思えない。失敗に終わるだけだ。危機のさなかに必要な行動を取るべきだった」と述べ、ロシアの提案をはねつけた。
OPECにロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」は協調減産を3月末の期限以降も続けることを話し合っていた。新型ウイルスの打撃によって原油が値下がりしたことを受け、OPECが減産拡大を提案したものの、ロシアがこれを拒否。ロシアの反応を受けサウジは前例のない大幅増産に踏み切ることを決めた。
ロシアとサウジはともに資金の蓄えが十分にあり、長期間に及ぶ価格競争に耐えられる状態にある。
*内容を追加しました。