[12日 ロイター] - 新型コロナウイルス流行に伴う各国の規制が世界経済の重しとなる中、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」が過去最大規模の減産実施で最終合意したことは、前週に上昇した米国株を下支えする可能性がある。
12日合意した減産規模は世界の原油供給の約10%に相当する。関係筋によると、合意以上の大幅減産や、非メンバー国の減産、各国による戦略備蓄の積み増しなども合わせれば、実質的な減産規模は世界供給の20%に相当する見通し。
S&P総合500種Eミニ先物 (ESc1)は12日夜時点で下落。
一部のアナリストは、難航した減産協議が最終合意に至ったことは、株価を押し上げる可能性があるとみる。チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は「合意によって、経済が最悪のシナリオを回避したとみられることから、市場はこれを安定化の材料とみなすだろう」と述べた。
一方、最終合意への期待感はすでに株価に一部織り込まれていたとの見方もある。S&P総合500種 (SPX)は9日までの週に12%上昇し、週間での上げ幅は1974年以来の大きさを記録した。
ただ、株価が上昇する場合でも、新型コロナ関連の経済活動の減速で上昇幅は限定されるとの見方が大半だ。
新型コロナ対策で世界的に燃料需要が激減し、原油価格は下落。生産コストの高い米シェール業界はとりわけ深刻な打撃を受けている。
S&Pエネルギー株指数 (SPNY)は年初来、約43%下落。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ピーター・カルディッロ氏は、世界的な経済活動の停止があと数カ月続けば、「人々が車を運転することはないため、今回の日量970万バレルの減産合意は無意味になる」と指摘。その上で、追加減産観測は歓迎される可能性が高いとした。