[イスマイリヤ 29日 ロイター] - エジプトのスエズ運河庁(SCA)は29日、座礁し航路を塞いでいる大型コンテナ船「エバーギブン」が部分的に浮上したと明らかにした。水位が上昇したら引っ張り出す作業を再開するとしている。世界の海上輸送の要衝である同航路の航行が近く再開されるとの期待が高まった。
SCAによると、エバーギブンは運河の東岸にほぼ平行した状態になっている。
作業に当たっているサルベージ会社スミット・サルベージの親会社ボスカリスのペーテル・ベルドフスキ最高経営責任者(CEO)は、船首の下にある砂と泥を高圧水で除去する必要があるが、この作業が失敗に終われば、同船から積み荷のコンテナを降ろす必要が生じると説明していた
作業関係者は29日、ロイターに、船体を安定化させる作業を、潮の流れが良ければ積み荷を降ろす必要がないだろうと語った。
スエズ運河庁は、同船が運河の幅が広くなっている「グレート・レイクス」地区に向かえば、運河の通航が再開されるとの見通しを示した。
ソーシャルメディアに投稿された動画では、同船の船尾が回旋し、航路にスペースができている。他の動画では離礁したのを受けて歓声が上がり、船から汽笛が鳴り響いている。ロイターはこの動画が本物かを確認できていない。
スエズ運河庁によると、運河の通航再開を待っている船舶は少なくとも369隻に達している。
海運会社の一部は、輸送ルートを南アフリカの喜望峰周りに変更。この場合、日数は最大2週間長くなり、燃料費もかさむ。
海運大手マースクは、スエズ運河で足止めされている期間と変わらないとみて、15隻を喜望峰経由にさせたという。「現在の待機状況を踏まえると、待機船がすべて通過するには6日かそれ以上かかる可能性がある」と指摘した。
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