[ウィーン 31日 ロイター] - イランが国際原子力機関(IAEA)に申告していない施設からウラン粒子が検出されたことについて、同国がまだ説明していないことが31日、IAEAの報告書で明らかになった。イランと西側諸国の間の新たな軋轢となり、核合意を巡る協議に影響が出る恐れがある。
ロイターはグロッシIAEA事務局長が加盟国向けに作成した報告書を入手。報告書は「IAEAが補足的な査察を実施した3カ所の施設で核物資の粒子が検出されたことについて、何カ月も経過したにもかかわらず、イランは必要な説明を行っていない」とし、「IAEAはイランと技術協議を実施してきたが、期待された成果が得られていないと懸念している」とした。
ロイターはこれとは別に、IAEAが加盟国に送付した四半期報告も入手。中部ナタンズの原子力施設で先月に発生した爆発と停電でウラン濃縮が阻害された可能性が示唆された。
濃縮ウランの貯蔵量の四半期ベースでの増加量は273キログラムにとどまり、増加幅は2019年8月以降で最低だった。イランが協力の度合いを引き下げたため、全体の貯蔵量は正確に把握できていないが、IAEAは3241キログラムと推計。核合意で定められた上限の202.8キログラムを大幅に上回っているが、同合意前の貯蔵量は6トンを超えていた。
このほか、イランが濃縮度60%のウランを2.4キログラム、濃縮度20%のウランを62.8キログラム製造したことも報告された。