[ワシントン 8日 ロイター] - 米バイデン政権が発足以来、重要産品への米国のアクセスを確実にするために政権ができることを点検してきた結果がまとまった。半導体から電池、医薬品、戦略鉱物のレアアースなど対象は幅広い。
バイデン大統領が2月、重要不可欠なサプライチェーンの点検を命じていた。コロナ禍の中で米国が重要産品の入手に苦労したことで、米国の立ち遅れが懸念されたことが理由。
執行機関から提示された主な勧告や対策案の一部を説明する。
<USTRに「攻撃」チーム>
中国に狙いを定め、不公正な通商慣行をやめさせるための新たな「攻撃チーム」を設ける。米政権は中国のこうした慣行が米国のサプライチェーンを損なっているとみている。
チームを率いるのは通商代表部(USTR)。ここには中国など外国への制裁関税などの権限がある。
<商務省は通商拡大法232条>
商務省は米通商拡大法232条に基づく調査を検討している。モーターなどの応用品に使われるネオジム磁石の輸入問題が米安全保障にどう影響するかを調べる。こうした鉱物は主に中国から入手している。
<供給制約で作業部会>
米国では木材から鉄鋼に至る供給制約の問題が国内のインフレの懸念をかき立てている。これを解決するため、米政権は作業部会を立ち上げる。重点的に取り上げるのは住宅建設、建築、半導体、運輸、農業、食品など。
<国防生産法で医薬品生産>
バイデン政権は国防生産法を使って、50-100の重要な医薬品を輸入に頼らず、自国で製造できるようにする取り組みを加速する。朝鮮戦争中に制定された同法は、既に同政権がコロナ対策でワクチンや他の不可欠な医療用品の生産を増強するのに用いている。
<半導体支援>
商務省は半導体メーカーとエンドユーザーの間の情報の流れを円滑化し情報の透明性向上も進める。半導体不足問題の解決も担う。半導体不足は自動車などの製品の生産を阻害している。
<電池政策>
政府の新作業部会が鉱物の採掘許可に関する法律の手直しを検討する。電池に使われる重要な鉱物について、環境面や労働面や持続可能性の「最も高い基準」を順守しつつ、採掘や加工ができる場所を国内で指定することも検討する。
国際開発金融公社(DFC)は、重要な鉱物プロジェクトへの国際的な投資を拡大する。
エネルギー省は、先端技術の自動車電池のメーカーを支援する融資に170億ドルを振り向ける。