[北京 14日 ロイター] - 中国当局は14日、戦略石油備蓄の放出にあたり、24日に入札を実施すると発表した。放出される原油は約738万バレル。中国の戦略石油備蓄の放出を巡る入札はこれが初めてとなる。
中国国家糧食物資備蓄局は先週、エネルギー価格の安定化に向け段階的に戦略石油備蓄を放出する方針を示していた。
放出される原油の大部分は中東から輸入されたもので、2020年4月から5月にかけて遼寧省大連市の貯蔵施設に輸送された。当時は新型コロナウイルス感染拡大を受け原油価格が歴史的な低水準に落ち込んでいたため、政府は売却により大きな利益を得られるとみられている。
北京に本拠を置く原油トレーダーは、中国政府の輸入価格が平均1バレル=40ドルだったと推定。「低価格で輸入した原油の一部を入札を通して売却することで、政府はエネルギー価格の上昇を抑えながら、利益を上げることもできる。まさに一石二鳥だ」と述べた。
原油価格の現在の水準から試算すると、738万バレルの原油売却で中国政府は約5億4000万ドルの利益を上げられる可能性がある。
エネルギー・アスペクトのアナリスト、ルー・ユンタオ氏は、今回の放出規模は「市場予想を大きく下回った」と指摘。「政府は戦略備蓄をこれまでよりも頻繁に入れ替えると見られるが、次回の放出は来年になる」とし、「今回の放出は試運転のように見える」と述べた。