[シドニー/メルボルン 9日 ロイター] - オーストラリア政府は9日、電気自動車(EV)用充電ステーションの設置を加速させるため1億7800万豪ドル(1億3200万ドル)を拠出し、Future Fuels Fund(未来燃料基金)を拡充すると表明した。ただ、ガソリン車からの脱却に向けたEV販売奨励金の導入や販売目標は示さなかった。
モリソン首相は「オーストラリア流のやり方」で税金を課すことなく輸送における温暖化ガス排出量を削減し、低排出・ゼロ排出車の導入コストを下げることが目的だと説明。「国民が乗りたい車を強制的に排除したり、禁止令や課税により車を買えない人を罰することはしない」と述べた。
未来燃料基金には既に7200万豪ドルの資金拠出が約束されている。今回の追加拠出では、民間企業とともに1000カ所の公共充電ステーションと企業や家庭の充電インフラ整備に投資し、急速充電ステーションの設置地域を拡大する。追加資金は政府や企業によるEV購入支援にも充てられ、2025年6月末までに使われる予定だ。
政府の計画では、2030年までに自動車・小型トラックの新車販売台数の30%をバッテリーEV・プラグインハイブリッドEVが占めるという見通しに基づき、35年までに二酸化炭素排出量を800万トン以上削減することを目指す。
一方、業界団体や環境保護団体は低排出車の購入を奨励するには販売奨励金や税の優遇措置が不可欠だと主張する。
オーストラリアでは今年上半期のバッテリーEV・プラグインハイブリッドEVの販売台数が8688台と過去最高を記録したが、これは小型乗用車の販売総数のわずか1.6%に過ぎない。
電気自動車評議会によると、オーストラリア全土にある公共充電ステーションは約3000カ所なのに対し、米国ではカリフォルニア州だけで充電ステーションが7万3000カ所以上ある。
同評議会は、政府のEV推進計画は十分でないとし、少なくとも燃料効率に関する基準を盛り込むべきだと指摘した。