[ニューデリー 19日 ロイター] - インドのモディ首相は19日、国内の農家が1年以上にわたり抗議してきた農業関連3法の廃止を決定したと明らかにした。
モディ氏は国民への演説で「今月末に始まる国会で、これらの3つの農業法を廃止するための憲法上の手続きを完了させる」と述べた。
インドでは昨年9月に農業分野の規制緩和を目的とした農業関連法が成立した。農家は、農産品を政府が管理してきた卸売市場以外でも販売できるようになった。農家には政府による最低価格も保証されている。
ただ、小規模農家は、大手小売業者が価格決定力を握るようになると懸念。小麦や米などの価格支援も失う恐れがあるとして廃止を求めてきた。
一方政府は、国内経済の約15%を占める農業分野の改革は農家に新たな機会と価格面での優位性を与えると主張していた。
モディ氏は、農業改革法は小規模農家に権利を与えるためのものだが、政府は反対する一部の農家を説得できなかったと述べた。
農家関係者は農業関連3法に激しく抵抗、今年1月下旬にはデモ参加者らが警官隊と衝突し、死傷者が出る事態となった。
農業団体の指導者は「国会が実際に農業法を廃止するのを待つ」とツイートし、それまでは抗議活動を停止しないと強調した。
野党は農業法の廃止決定を歓迎。主要野党の幹部は、農家の断固とした姿勢が「傲慢な」政府を譲歩に追い込んだなどと述べた。
インドの複雑な農家補助金・価格支援制度を巡ってはかねてより、政府には維持する余裕がないなどと懐疑的な見方も根強いが、農業法が廃止される公算になったことで、制度は当面温存される。政治的利害が経済政策よりも優先されたことに、投資家が疑問を持つ可能性もある。
来年初頭には、インドの州の中で最も人口が多いウッタル・プラデーシュ州と、大規模な農業人口を抱える他の北部2州で選挙が予定されている。