[7日 ロイター] - 日米は7日、トランプ前政権で導入された鉄鋼関税の一部免除で合意したと発表した。4月1日から、年間約125万トンまで免除される。一方、アルミニウム関税は、日本の要請で免除の対象に含まれなかった。
米国は昨年、欧州連合(EU)とも一定量まで追加関税を免除する合意を結んでいる。
米政府当局者らによると、今回の合意により日本は中国をはじめとする世界鉄鋼生産の過剰能力の是正に向けた「具体的な措置」を取ることが必要になる。
共同声明は、日本が「鉄鋼に関してより市場志向的な条件を確立するため、6カ月以内に正式な手続きを開始することを視野に、反ダンピング、相殺関税、セーフガード措置や少なくともそれと同等の効果を有する他の措置など、適切な国内措置を実施する」とした。
米国は昨年10月、EUとの間で、鉄鋼・アルミニウム製品について、トランプ前政権が制裁関税を導入した2018年以前の輸出量相当には輸入関税をかけないことで合意している。
対EU合意と同様に、米国が日本から輸入する鉄鋼が無関税の対象となるには、全ての製造過程を日本国内で行う必要があると規定された。中国製品が迂回(うかい)輸出されるリスクを抑える狙いがある。
レモンド米商務長官は、今回の合意が「米国の鉄鋼業界を強化し、同業界の労働者の競争力を維持するほか、より安価な鉄鋼へのアクセスが拡大し、米国にとって最も重要な同盟国の一つである日本と米国の主要な懸案に対処できる」と述べた。
トランプ政権は18年3月、米通商拡大法232条に基づき鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をそれぞれ上乗せした。日本はEUや英国とは異なり、米製品に対する報復関税は導入しなかった。
米国の鉄鋼価格は強い需要やサプライチェーンの制約に押し上げられたが、最高値から軟化し始めている。
米中西部の熱延鋼板先物は7日、1トン=1180ドルで取引を終えた。昨年9月には1トン=1945ドルの最高値を付けていた。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の20年2月7日に付けた578ドルのほぼ倍の水準にとどまっている。
米鉄鋼業界の幹部らは、バイデン政権による輸入制限緩和で輸入品が急増し、鉄鋼価格の急落につながることを懸念している。
ただ、日米の合意で追加関税が免除されたのは年約125万トンで、鉄鋼関税発動の影響を受けた18─19年の輸入量の年間平均にとどめられた。
鉄鋼製造業者協会(SMA)のフィリップ・ベル代表は「全体として、米鉄鋼メーカーにとって強力な合意だ。雇用や環境、経済成長に関しては画一的なアプローチを取るべきではないことを示している」と語った。