[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米政権は、中国が第1段階の通商合意で約束した購入拡大目標が未達となったことを巡る両国の協議が失敗に終わった場合、新たな関税につながる可能性のある通商調査の実施など、さまざまな選択肢を検討している。米商工会議所の国際問題担当責任者、マイロン・ブリリアント氏が9日、記者団に述べた。
バイデン政権は欧州や他の同盟国との協調を深め、中国に対し結束して、国際企業の公正な競争環境を要求していく可能性もあるという。
8日に公表された米貿易統計では、中国が第1段階の合意で約束した米国製品・サービス・エネルギーの購入目標を達成できなかったことが明らかになった。
ブリリアント氏は、第1段階合意の履行を求めるバイデン政権と中国側の協議を支持する立場を示した。
同時に「協議によって合意条項の達成に成功しなければ、バイデン政権には検討し得る追加措置の手段がある」とし、「政権はさまざまな選択肢を検討しており、これには当然、通商法301条に基づく措置などが含まれる可能性がある」と述べた。
トランプ前米政権は、貿易相手国の不当な慣行に対抗することを狙った通商法301条に基づき、2018年から19年にかけて数千億ドル規模の中国製品に関税を導入した。
ブリリアント氏は、政権との協議を踏まえ、いかなる措置も短期的には関税を伴わないとの見方を示した。
「中国は、現行の関税が米国の企業や労働者に圧力をかけていることを認識しており、それに対処する必要がある」と述べた。
米通商代表部(USTR)の報道官のコメントは、現時点で得られていない。USTRのタイ代表は昨年10月、対中通商戦略を明らかにした際、新たな関税措置の可能性を排除しなかった。
ブリリアント氏は、バイデン政権が何らかの措置を講じる場合、産業界や同盟国との連携が必要だと強調。「欧州やアジアの友好国と連携し、多国間で行わなければ、中国に対するいかなる措置もさほど生産的にはならない」と述べた。